『マシニスト』レビュー

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ずいぶん昔の話らしいが、あるアメリカのラジオの人気パーソナリティが世界最長の"断眠生放送"に挑戦した。極限状態で「親指サイズの小さい人」が見えてきたりするらしい。以前は温和だったのにこの実験以来、ものすごく猜疑心の強いイライラした人になってしまったとも聞く。

この映画の極度の不眠症に陥った機械工はまさにそんな状態である。そして激ヤセしている。忙しくて不眠が続いたとき、みるみる体重が落ち、思考と行動がかみ合わなくなった経験を持つ私にとって、他人事じゃなくスリラーだった。なのに目を離せないんだから、ヤになっちゃうのである。悪夢的イメージにジワジワと首を絞められるような緊張感や、見事に伏線が張りめぐらされた脚本のせいもあるが、主人公のトレバー同様にこの裏に隠された真実を知りたくてたまらないのだ。こんなときに「まいっか」と思えないから、不眠症になっちゃうのかもしれない。“本当のこと”はいつだって辛く厳しいのに、それを知ることでしか救われないなんて。人間のそういう"まっとうさ"が、ラストには胸にくる。悲しく、憐れなのだ。

《text:Shiho Atsumi》
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