新しい出会いから恋芽生える5月 ひと筋縄ではいかない恋愛映画 vol.2 『スカーレット・レター』で壮絶な恋愛の成れの果てを知る

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2月22日に飛び込んできたニュースは、それほど彼女を知らない人さえも、なぜかやるせない気持ちにさせたことでしょう。折しも日本が空前の韓国ブーム真っ只中の時期だっただけに、前途洋々だった美しき韓国女優イ・ウンジュが自ら命を絶ったという悲劇を、より身近に受け止めた人も多かったはず。

そんな衝撃のせいでもなく、故人を美化するわけでなく、遺作となった『スカーレット・レター』の彼女は、ほんとうに輝いています。クリーンなイメージを脱ぎ捨てて危険な魅力を漂わせはじめた新生ハン・ソッキュの相手役として、申し分のないファム・ファタールぶり。その妖艶な魅力は、この映画の核と言えるほど。残念ながら、悲しいニュースが作品を広く知らしめる結果になりましたが、イ・ウンジュの才能と勇気、そしてまぶしいほどの美しさを永遠に刻むに相応しい作品と言えるのかもしれません。たとえこのような事情で話題にならなくても、作品への注目度、評価は変わることがなかったはずです。

さて、作品の中でイ・ウンジュとハン・ソッキュが演じているのは、不倫の恋に身を焦がす者同士。彼らの複雑な関係は驚きのラストへとつながっているので、くわしく紹介はしませんが、男が刑事であるがゆえに、物語は殺人事件とも絡み合い、終始インモラルなムードを漂わせています。

殺人、姦通、うそ、裏切り…などなど、人間が犯しうるあらゆる罪が描かれるこの作品の中で、背徳的な愛の地獄に落ちていく男女。その関係は、あの『危険な情事』でのドロドロさをしのぐほど。俳優たちの鬼気迫る演技も、マイケル・ダグラス&グレン・クローズに勝るとも劣りません。そこにはまさに“愛の地獄”が展開しているのです。

それにしても、今月のコラムは爽やかな5月に似合う作品をと思っていたのですが、2回目にしてこんなにヘビーな映画を取り上げてしまって恐縮です。ひと筋縄ではいかない恋愛には違いないのですが…。それもこれも、愛だの恋だのを語る前に、幸福な結末とは対極にある壮絶な恋愛の成れの果てというものを、ぜひ一度観ておいていただきたいという老婆心から。今後、「私、破滅願望があります」などとは、口が裂けても言えなくなるほどの女の執念を観よ! ということで、実生活では思い切り爽やかな恋をお楽しみください。

《text:June Makiguchi》
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