2005年、夏のおすすめはこの映画! vol.2 『コーチ・カーター』

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数々ある夏休み映画の中で、ほとんど気に留めていなかった作品『コーチ・カーター』。ところが、これが観てびっくり。涙が幾度となくぽろぽろと。あまり期待していなかっただけに(ごめんなさい!)、観終わった後の喜びもまたひとしおなのでした。

映画化されているのは、真実からインスピレーションを得た感動の物語。失業率が高く貧困が蔓延する地域にあり、多くの問題を抱えるリッチモンド高校にやってきたバスケットボールのコーチと、部員たちとの心温まる交流を描いています。こう聞くと、「なんだスポ根映画か」と思う人は多いはず。確かに、私も初めはそう思いました。でも、この作品、ただのスポ根ものではないのです。

勉強とバスケ。学生である限り、その両立によってのみ、閉塞した社会の中でも、自らで未来を切り開く知恵と技を手にすることができる。そんな教育方針を胸に、カーターが試みたのはチームの改革。学業でも決められた成績水準を保つこと。授業にはすべて出席し、一番前の席に座ること。試合の日の服装は、上着とネクタイを着用すること。この約束が守られなかったとき、カーターはある計画を実行に移すのです。

“試合に勝つだけでなく、人生に勝て”という哲学に裏打ちされたその決断は、目先の成功ばかりを追う生徒や保護者、そして市民たちをも巻き込んで、全米で大きな議論を呼んだそう。事実、映画の中で描かれる騒動は、1999年、メディアをかなり賑わわせたとか。それでも、カーターは信念をひたすら貫くのです。「持てる力すべてで、君たちの人生をより良いものにする」。その決意、その信念はもう、教育方針を通り越して人生哲学。スクリーンを突き抜け押し寄せてくるコーチ・カーターの魂が、なんだかじーんと心に染みて、つつーっと涙が溢れるのです。
苦手意識をちょっぴり捨てて、騙されたと思って観てみれば、きっと納得していただけるはず。説教くさくない語り口も、好感度高し! 全編に流れるヒップホップやR&B、そしてバスケットボールと、なんだか若者向けの要素ばかりが目立ちますが、気にしない。子を持つ親、そして教育者にもぜひ観て欲しい作品です。

《text:June Makiguchi》
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