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『心中エレジー』小山田サユリインタビュー

透き通るような透明感と確かな存在感をあわせ持つ女優・小山田サユリさん。彼女の主演最新作である映画『心中エレジー』は2組の夫婦を通して生と死のあり方をそれぞれの目線から描き、魂の在り処を求めてさまよう現代人のファンタジーともいえる。どこか幻想的な世界観を象徴する主人公・京子役の小山田さんにインタビューした。

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透き通るような透明感と確かな存在感をあわせ持つ女優・小山田サユリさん。彼女の主演最新作である映画『心中エレジー』は2組の夫婦を通して生と死のあり方をそれぞれの目線から描き、魂の在り処を求めてさまよう現代人のファンタジーともいえる。どこか幻想的な世界観を象徴する主人公・京子役の小山田さんにインタビューした。

小山田さんと『心中エレジー』との出会いはまさに“めぐり合わせ”だったという。昨年の秋にひとり旅で台湾を訪れた小山田さんはそこで初めて本作の脚本を読んだそうだ。
「当時29歳で、仕事でも精神的にもストレスがたまっていたんです。できるだけ長く滞在するつもりだったんですが、どうしてもこの役をやりたかったので予定を切り上げて帰ってきてしまいました」。

これまで演じてきた役では儚げで純粋なイメージが強かったが、決まったパターンで見られてしまうことにストレスを感じてもいたという小山田さんにとって、この作品はひとつの転機になった。撮影前に作品や役については監督とメールでのやりとりを重ねたそうだ。「(メインテーマである)死についてそれまで深く考えたこともなく、ピンとこないところもあったんですね。人物像に関しては言葉だけでは伝わらない部分もあるし、不安はいっぱいありましたが、撮影に入ってからは夢中で監督の演出に驚かされながらも迷いなくできました」。

本作は熊切和嘉監督『アンテナ』などで助監督をつとめてきた亀井亨の初監督作品となる。文字通り、死にたがっている2人の話なのにそれがかなわない。あまりに失敗するので滑稽に思えてくるほどだ。中でも死に損なった京子が部屋から飛び出してくるシーンが印象的である。「あのシーンは1回OKが出た後も自分の演技にひっかかるものがあったのでやり直しをさせてもらったんです。時間も遅いし大変な状況の中でのリテイクだったけど、いいものにしたいという思いがありました」。監督のOKと自分の演技に疑問を感じることは多いのだろうか?「そのときによりますが、あのシーンはちゃんとしたものにしないと(映画が)成立しないなと考えていたからこそ、こだわりました」。

心に膿を抱えながら生き、やがては死ぬことでその闇を昇華させようする京子役は以前に小山田さんが『オー・ド・ヴィ』で演じた役と似た印象を受ける。「私も役柄の雰囲気としては全く同じ印象を受けました。ただ『オー・ド・ヴィ』は第一の転機でもあり、先輩の役者さんたちや篠原(哲雄)監督についていくので精一杯だったのですが、今回は自分の置かれたポジションも心境も全く変わっていると思います」。

『オー・ド・ヴィ』から『心中エレジー』まで、主演のみならず脇役でも多くの映画に出演してきた小山田さん。そんな彼女が主演にこだわる理由は「少しでも長く現場にいて、ひとつの作品を時間をかけて皆と創りあげていきたいから」だという。本作にはその経験が刻まれており、劇中でも小山田さんの存在感が映画を引っ張っている。「今までは“私が(主演を)やっていいのかな?”とか“私にできるのかな?”という不安のほうが大きかったんです。でも、主演の経験を積むことによって自信がつき、自分の役だけでなく相手役やスタッフの方々や全体についても客観的に考えられるようになってきました。主演をするにあたって周りを見渡す余裕がちょっとは出てきたのかなと思います」。

死ねないことにより逆に死の重みが伝わってきて、最終的にはポジティブともとれるラストになっている。テーマこそ暗いがそれは一種のファンタジーのようでもある。「私が演ると(夢と現実が入り混じったような)ファンタジーになっちゃうのかな。最後は救いがあるからよかったなと思います」。ちなみにこのラストには諸説あり、観た人がそれぞれに深読みをすることができる。

映画の中の“京子”と目の前にいる現実の小山田さんとは全く違うが、どちらの世界でも彼女はリアルな説得力を持って存在している。「仕事と仕事の合間には実家に帰って、家族のためにごはんを作ったり家事をするのがリフレッシュ法です。東京では仕事も生活も自分のためのことばかりなので、他人のために何かをするのが楽しいんです。(30歳になりましたが)結婚の予定は全くないですね。結婚はしたいです。甥や姪があまりに可愛いので自分の子供だったらどれだけ可愛いんだろうと思うとちょっと怖いですけど」。

母親はまだ役柄の上でも演じたことがない小山田さんには、今年から来年にかけてたくさんの出演作が待機している。それぞれの新しい小山田サユリを見るのが楽しみだ。
《シネマカフェ編集部》
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