『シン・シティ』ブリタニー・マーフィ来日インタビュー

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センセーショナルな映像美で、壮絶なまでの愛と裏切りの世界を描いた、全米No.1ヒット作『シン・シティ』。“SIN CITY(罪の街)”に生きる個性的なキャラクターと彼らを演じる豪華なキャストも話題の本作で、多くの俳優たちに交じり、鮮烈な印象を残しているのが、ハリウッドでも注目の若手女優ブリタニー・マーフィだ。『17歳のカルテ』『8Mile』などでも高い評価を得ている彼女が、10月1日の映画公開を控え来日。世界を刺激する『シン・シティ』の魅力を、cinemacafe.netに語ってくれた。

「こんな格好でごめんなさいね」。友人だというステラ・マッカートニーのオフショルダー・ミニのドレスに身を包み、ホテルの一室で迎えてくれたブリタニー。「テレビのショーに出てきたから、こんな格好なの。昼間なのに、ドレスアップしすぎよね…」。スクリーンでは、ちょっとエキセントリックで奔放な役を演じることが多いが、その素顔は、周囲に気を使うとても気さくな女性だということが、ほんの一瞬で読み取れる。

挨拶の言葉を交わすとすぐに、インタビュー直前に出演した「笑っていいとも」終了後、移動中に新宿で見かけた帽子がとても素敵だったと話しはじめた。「日本らしいアートセンスが素晴らしいわね。それに、日本は初めてだけど、みんなとてもお行儀がいい。温かく迎えてくれたから感激しちゃったわ」

ハスキーでセクシー、そして時おり震えるような音を響かせる声で話すブリタニー。キュートな外見や豊かな才能はもちろんなのだが、特徴のあるこの声こそが、『シン・シティ』の生みの親フランク・ミラーを瞬時に魅了したと聞く。「ロバート(・ロドリゲス監督)からプロジェクトに参加してほしいと言われて、フランクに会わせてもらったときは、とても光栄に思ったわ。このプロジェクトには絶対参加したいって思ったの。私が演じたのは、ストリップ・バーのウェイトレスで、男運の悪いシェリー。フランクが書いたグラフィック・ノベル「シン・シティ」でシェリーの絵を見たロバートは、私を思い浮かべたそうなの。ぴったりだと思ってくれたみたい。後でフランクが私をキャスティングすることに同意してくれたと聞いて、信じられないくらい嬉しかったわ!」

始めにこのプロジェクトについて耳にしたとき、とにかく興奮したというブリタニー。ハリウッドで噂になっていたというこの企画には、多くの俳優たちが、出演を希望していたと言われている。それほどまでに、役者たちを魅了する理由を、女優の立場からこのように説明してくれた。

「きっとロバート・ロドリゲスとフランク・ミラーが共同で監督をするという"マリッジ"が最大の魅力ね。彼らが一緒にプロジェクトを進め、それが秘密裏に進められたのも魅力的だった。ファーストシーンをロバートが撮影したとき、それを見たのはハリウッドで最も影響力のある、ほんの一握りの人たちだったのよ。彼はそのシーンを自費で撮影したんだけど、それはフランクから撮影の許諾をもらう説得材料にするためだった。そのときには、まだフランクからの許可を取り付けてなかったのよ。とにかく、そのガッツは尊敬に値する。彼は偉大なインスピレーションの源って感じね。そんな人と仕事をしたくない俳優なんていないはず。そこにフランクも加わるんだから! それに、クエンティン・タランティーノも特別監督として参加してるなんて凄いでしょ。素晴らしいと思わない? 彼らはそれぞれ素晴らしいクリエーターなのに、一度に3人も一緒なんて。もう夢のようだった。実は、ロバートとクエンティンは、まるで一人の人物のようなの。あの2人には言葉なんて必要ないのよ。もう、想いが通じ合っちゃってるの(笑)。一緒にいると、とっても可愛いし(笑)。それにクエンティンはフ
ランクの大ファン。相思相愛の人たちが一緒に作品を作っているんだから、うまく行くはずでしょ」。

実は、ハリウッドでの映画制作については、組合によって細かいルールが決められていて、監督の組合であるディレクターズ・ギルド・オブ・アメリカは、1作品につき監督は1人だけと、定めている。だが、作品の生みの親である"アメリカン・コミック界の鬼才"フランク・ミラーに共同で監督してもらうため、ロドリゲス監督は組合を脱退した。今後は、メジャースタジオ製作の作品を監督できないというリスクまで犯し、"最高のヴィジョン"を守ったというわけだ。「ロバートは、気持ちの良い、活気ある雰囲気を作り上げてくれた。彼が築きあげてくれたものは、いわばクリエーターのための"安息の地"のようなもの。皆をテキサス州オースティンにある彼のスタジオに招いてくれて、そこには彼の家族も来ていたの。とてもいいムードだったわ。仲間の1人になることが出来て嬉しかったし、フランク(ミラー監督)との仕事も楽しかった。彼が作り上げたキャラクターに息を吹き込むのは光栄なことだったし。ベニチオ・デル・トロやクライヴ・オーウェンとの共演も夢のようだったわ。ここで皆が体験したことは、映画人にとっての夢。特に、ロバートのようにとても情熱的で、自分の夢を確実に叶えていくような監督と一緒に仕事ができたことは、ものすごく楽しい経験だった」

こんな風に、とことんこだわって実現された“シン・シティ”の世界観ゆえ、映画は、今巷に溢れているいわゆるコミックの映画化作品とは一線を画す。「もとはグラフィック・ノベルだけど、その映画化というよりも、メディアを変えた作品という表現の方が相応しいかもしれないわ。本や音楽、映画、TVなど、メディアにもいろいろあるけれど、映画という媒体をフランクの描いた世界に合わせて作り変えたという感じ。撮影前、ロバートが絵コンテを見せてくれたんだけど、そこには、観客たちが劇場で実際に観ることになるショットのすべて、構図、そして陰影までも描かれていたの。そんなことってちょっと考えられないわ」

実際に完成した作品を観たときは「感激だった」と大きな瞳を輝かせる。「ロバートは撮影したシーンをその都度見せてくれていたの。でも、一つの作品として初めてすべてを観たときは、驚いたわ。ブルース・ウィリスが登場するエピソードを、最初と最後にわけて語る、まるで映画全体をブックエンドで挟むかのように編集していたところは特に。ああいうところが、彼のすごいところなのよね」

本作では、“シン・シティ”で起きる3つの違った物語がオムニバス風に語られているが、その中で、唯一すべての物語に姿を現しているのが、ブリタニー演じるシェリーだ。「私の役は、3つの物語をのりづけするようなキーパーソン。これがフランクの計算なの。実はグラフィック・ノベルでも、彼女はすべての物語に登場している。とっても可愛いくて、黄金のハートを持った女の子ね。魅惑的で、暴力的なシン・シティのもう1つの側面を象徴していると言えるかしら」

夢のような環境で、魅力的なキャラクターを、トップレベルの俳優たちと演じきり、豊かな時間を過ごしたのだと、最高に幸せそうなオーラを発しながら撮影を振り返ってくれたブリタニー。最後に、「ちょっと変な質問をしていい?」と切り出すと、「気にしないで、何でも聞いて。“変な”なんて、私の得意技よ」と大爆笑。その言葉に大いに甘え、もし、“シン・シティ”の男性陣からボーイフレンドを選ぶとしたら、誰にするかと尋ねたところ、「それってキャラクターとしての男性を選ぶの? それとも役者本人たちを? どちらかによって、答えが大きく変わってくるわよ(笑)」と再び大笑い。

「そうね、キャラクターで選ぶなら……劇中でシェリーは、ドワイト(クライヴ・オーウェン)とジャッキー・ボーイ(ベニチオ・デル・トロ)のどちらかを選ぶことになったから、今度はマーヴ(ミッキー・ローク)を選ぶことにするわ。マーヴは、心が温かくて忠実な男性だから」

ではブリタニー自身なら?と、さらに野暮な質問を畳み掛けると、こんな風に言われてしまった。「私にはボーイフレンドがいて、いまとっても幸せだから、誰も選ばないわ。だって、私の彼は完璧なんだもの(笑)」


《text:June Makiguchi》
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