『LOFT』中谷美紀インタビュー

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『LOFT ロフト』完成披露試写会が行われた翌日の8月11日。都内某所にて、主演の中谷美紀さんに、作品についてのインタビューが行われた。

Q. 黒沢監督の演出はどのような感じでしたか? 他の監督との違う点などあれば教えてください。

まず声を荒げないことです。常に、人と適切な距離を保っていると感じました。みんなで盛り上げて情熱的になると言うよりは、静かな情熱を持っていて、淡々と進んでいく感じが監督にはあります。監督ご自身が無理矢理、人の中に押し入ってくるような方ではなくて、人との間に絶対的な距離があって、それがまた演じていて心地よく感じました。

他の監督の方々と違うところは…距離感ですね。俳優と監督、監督とスタッフ、スタッフと俳優、観客と作品、カメラと俳優、またはカメラ位置だったり…全てに距離が保たれていて、それが全て等間隔のような気がします。

Q. 中谷さんご自身、「春名礼子」という役を演じる上で、礼子というキャラクターについて悩まれました?

監督と出会う前だったら、どうしてこうなんだ、とか、行動に理由を求めていたと思います。ですが、初めて監督とお会いした際に、「人は理由が無くても行動する」とおっしゃっていただいて、その言葉で全てがクリアになりました。答えを求めても見つからないことは、この世にたくさんあります。自分自身の行動について説明できないこともたくさんありますよね。監督の「理由が無くても行動する」という言葉が、この作品のみならず、他の作品や私の人生においても非常に的を得ていました。それで、礼子というキャラクターを無理に全て把握しようとせずに、最初からわからないなりに演じていました。黒沢監督の目を見て、監督の指示を信じていれば大丈夫と確信しておりましたので特に不安は無く演じてました。

Q. 映画の中で、礼子が『何もかも捨てる』と叫ぶシーンがあるんですが愛する人のために何もかも捨てるということに共感はできますか?

ごめんなさい、できません(笑)。でも、何かを得るために何かを捨てると言う気持ちはわかります。両方は無理だから、取捨選択しなくてはいけないんですけれど、愛のために全て捨てると言うのは私にはできません。それが例えば、自分の生んだ子どもとかなら可能かもしれませんけれど。いわゆるパートナーとしての愛のために全てを捨てられるほど、私は寛容ではないというか、慈悲深くないというか。。ごめんなさい、エゴの塊なので(笑)

Q. 映画のミイラは、永遠の美を保つために泥を飲んだ女性でしたが、実際に永遠の美を保てる方法があるとしたら…興味はありますか?

全く興味が無いと言ったら嘘になりますが、そもそも永遠という言葉は私が最も嫌いな言葉なんです。嫌いと言うと語弊があるかもしれないんですけれど、最も信じていないものなんです。必ず終わりがあるから今の人生を楽しめると思うので、不老不死の薬が開発されて飲むかと聞かれても、私は飲まないです。全て、上下も左右も、2つの力が同時に働いて成り立っていると思うのです、生と死も。

Q. 現場にいて印象的な撮影エピソードはありますか?

熱狂の仕方に無駄がありません。撮影も、ほぼ10時ごろに終わって普通に、サラリーマンのように朝集合して帰っていく。映画をつくっている泥臭さが一切無くて、そこが不思議でした。黒沢監督の持っているご自身の品の良さが、現場にも通じていましたね。普段の監督は存じ上げてないのですが、みんなで食事をして、わいわいと盛り上げていく、そんな監督ではなくて、その辺が、やはり人との距離感があるんですよね。

Q. 中谷さんから見て、春名礼子という女性の魅力はどこだと思いますか?

考えたことが無かったんですが…。簡単にプライドを捨てられるところですかね。盗作って普通だったら絶対にしないことだと思いますし、私はできない性質なんですけれども、それができるって実はものすごく生きる上で大切な要素なのかもしれません。背中に、預かったミイラがいて「あなたは1000年間捨てられなかったものを私は捨てる」というセリフがあって、そこで捨てるものはプライドなんですけれども、もしかしたらそれが彼女の魅力かもしれない。盗作できるような人間だったら、もっと楽に生きていられるかもしれない。もっと素敵になれるかもしれないですね。

Q. 最後に、中谷さんからご覧になって、この作品の一番の見所はどこだと思われますか?

圧倒的な美しい映像と、人を不安にさせる、わけのわからない話と。黒沢監督の巧みな演出をぜひご覧頂きたいです。

女性には、やはり、永遠の美や、永遠の愛とか、誰しもが憧れつつも、絶対に手に入らないもので、結局、そういった夢がいかに儚いものかというところを見ていただきたいですね。映画が訴えるメッセージは、監督の意図とは違うかもしれませんが、私が思うのは、愛の儚さとか、信じていたものが簡単に崩れていくという点、じゃないでしょうか。見れば見るほどおもしろくなる映画だと思います。
《text:cinemacafe.net》
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