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しっとり秋色の恋愛ドラマ vol.1 『トリノ、24時からの恋人たち』

9月に入り、すっかり秋らしくなった日本。そこで今月は、なぜか人恋しくなってしまう秋に似合う、しっとりとした恋愛ドラマをご紹介したいと思います。

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『トリノ、24時からの恋人たち』メイン
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9月に入り、すっかり秋らしくなった日本。そこで今月は、なぜか人恋しくなってしまう秋に似合う、しっとりとした恋愛ドラマをご紹介したいと思います。

初回は、『トリノ、24時からの恋人たち』。トリノといえば、荒川静香が金メダルを獲ったトリノ五輪を思い出します。イタリアらしいロマンティックな街並を背景に、ドラマが生まれるに相応しい場所という印象を持っている人も多いはずですが、忘れてはならないのはここが、イタリア映画発祥の地であること。

主人公はモーレ・アントネッリナーナ(国立映画博物館)で夜警をしながら、博物館に暮らしている夢見がちなマルティーノと、彼が恋するファーストフード店の店員アマンダ。ある夜、とある事件をきっかけにアマンダが彼の家に転がり込みます。そして、彼女の恋人で車泥棒のアンジェロを加えた奇妙な三角関係に発展し…。

夜中の12時に魔法が解けてしまうのが「シンデレラ」なら、24時から魔法がかかったように恋物語を紡ぎだすのがこの作品の主人公たち。『突然炎のごとく』を思わせる男女関係、主人公の心理と呼応するかのようなクラシカルなサイレント映画の挿入など、映画へのオマージュにあふれたこの作品について、ダヴィデ・フェラーリオ監督は、地元トリノの特別な場所について描いたと語り、「映画、中でもバスター・キートンに対する愛の記録」と呼んでいます。なるほど、夢と現実を浮遊するようなこの青春恋愛映画は、シネ・フィルにはたまらない愛の図式が随所に隠されているのはそのせいなのです。

最近は、あまり元気のないイタリア映画界。イタリア映画発祥の地で生まれたこの作品が、起爆剤となってイタリア映画の素晴らしさを再認識する人が増えると良いのですが。

ところで、この10月には、エルマンノ・オルミ監督が、アッバス・キアロスタミ、ケン・ローチ両氏とコレボレートして完成させた『明日へのチケット』が公開となります。ここでオルミ監督は、さすがは恋の国イタリア出身者と思わせるしっとりとした大人のラブ・ストーリーを手がけています。本作同様、やっぱり、愛を語らせるならイタリア人と感じさせてくれる作品です。こちらもお楽しみに!

《牧口じゅん》

映画、だけではありません。 牧口じゅん

通信社勤務、映画祭事務局スタッフを経て、映画ライターに。映画専門サイト、女性誌男性誌などでコラムやインタビュー記事を執筆。旅、グルメなどカルチャー系取材多数。ドッグマッサージセラピストの資格を持ち、動物をこよなく愛する。趣味はクラシック音楽鑑賞。

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