しっとり秋色の恋愛ドラマ vol.2  『薬指の標本』

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“しっとり”という言葉が似合う恋愛ドラマを多く制作している国といえば、フランス。というわけで、今回のこのテーマなら、絶対に外せないのがフランス映画です。『男と女』『隣の女』『髪結いの亭主』といった巨匠たちの作品に限らず、“しっとり感”は今も脈々と若手の作品に受け継がれています。そこで、今回ご紹介したいのが『薬指の標本』。

誰にでも自分から遠ざけておきたいものの、ひとつやふたつあるはず。捨てるのではなく、どこかで誰かにひっそり保管しておいてもらいたいというものが。そんなさまざま想いが詰まった私的な物たちが集まる標本室が映画の舞台。そこで働くイリスは、元職場である工場の事故により、薬指の先端を失っています。そんな彼女と、標本技術士との間に流れるファティシズムと静寂に満ちた人間関係を軸に描かれる物語。標本室、口数の少ない標本技師、指先を失った女性、無駄なものの一切ない空間。そのすべてが、非現実的なロマンを持ちながらも好奇心をそそるほどのかすかな不気味さをも持ち合わせている。「さすがは、フランスらしいムードに溢れた物語」と感じさせる要素ばかり。でも、ちょっと待った!

実はこれ、原作は「博士が愛した数式」で話題となった小川洋子さんの小説。このほかにも、海外で翻訳された作品は多く、日本、フランスはもちろん、海外に多くのファンを抱えている彼女なのです。

原作に惚れ込み、映像化したのはフランスの女流監督ディアーヌ・ベルトラン。“示唆に富んだ印象的な世界観”と“少しのアクシデントがヒロインを何が起こってもおかしくない状況に追い込んでいくストーリー展開”に心を動かされたのだとか。ベルトランは、本作が長編二本目ながら、すでにデビュー作でカンヌ映画祭のある視点部門に出品されたり、ジャン・ピエール・ジュネの助監督を経験していたりと、その腕は確かとの噂。実は、原作に心惹かれながらも、まだ目にしていない私。元モデルでヴァンクリーフ&アーペル、ヘレナ ルビンスタイン、クラランスなど一流ブランドの広告ヴィジュアル、「エル」「フィガロ」「マリ・クレール」等のファッション誌の表紙を多数飾っていたウクライナ出身のオルガ・キュリレンコを主人公に、ベルトランはどんな映像を見せてくれるのか、今から公開が楽しみ。初日とその翌日には、先着プレゼントもあるようだし、これは劇場に行かないと!

《text:June Makiguchi》
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