しっとり秋色の恋愛ドラマ vol.4 『クリムト』

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『クリムト』
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秋といえば、芸術。そこで、「しっとり秋色の恋愛ドラマ」最終回は、恋愛も芸術もしっとりと楽しみたいという人のための映画を。ロマンティックで官能的な作品で有名な画家グスタフ・クリムトを描いた作品、その名も『クリムト』です。

19世紀末、新しいものと古いものが混在し、まさに新時代への過渡期を迎えていたウィーンを舞台に、彼の挫折と栄光を描いた作品。クリムトといえば、独特の色使いと華やかさをもって、美しく印象的な女性像を描き続けた天才ですが、そんな彼と、彼を取り巻く女性たちとの関係を、とても感覚的に捉えた、いわゆる伝記とは一味違った映像作品なので、アート好きにはひときわおすすめです。

喜びに溢れた、恍惚の瞬間を覗かせるモデルたちの表情は、一度見たら忘れられず、なんとも幸せな気分になれるもの。そんな傑作を生むきっかけとなった、女性関係について、その真相はかなり謎なのだそう。

「モデルに触れないと描けない」と言っていたとか、何人ものモデルと関係を持ち、当時のウィーンには彼の子供が30人はいたのだとか、一方で彼の良き理解者にして最愛の女性、富裕層出身のエミーリエ・フレーゲとは生涯プラトニックな関係を保ったとか、数々の伝説も紹介されています。

先進的だったパリでは大歓迎されたクリムトの作品。1900年に開催された万博において、作品が金賞を受賞するという成功を収めます。ところが、裸婦、性的なものを髣髴させる描写がタブーだった当時の保守的なウィーンでは、彼の作品はスキャンダラスだと攻撃され、それをきっかけに、時代に嫉妬された男はますます反抗的になっていったとか。でも、芸術家にとって反抗とは芸の肥やしになる感情なのでは? 彼が残した作品を観ていると、明らかにそう思えます。しかも、伝説となった女性たちとの関係も、彼の作品を不道徳だと非難した人々が作り上げた汚名だとの話も。結局のところ、こうした嫉妬はこの天才を、最も有名な画家として後世に名を残す手伝いをしたのかもしれませんが。

とにもかくにも、女性として、あんな風に描いてもらえたら光栄の極み。どんな愛であったにしろ、あれほどまでに女性を神々しく描いたクリムトが、女性たちを誰よりも賛美していたことは紛れもない事実。彼が発する女性への愛に浸りながら、クリムトの素晴らしさを再認識してみてはいかがですか。

《text:June Makiguchi》

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