カンヌ最高賞に輝いた問題作『麦の穂をゆらす風』レビュー

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2006年カンヌ国際映画祭のパルムドールに輝いた『麦の穂をゆらす風』は、『ケス』、『マイ・ネーム・イズ・ジョー』、『SWEET SIXTEEN』などで知られるイギリスの至宝ケン・ローチが、英国が支配していた1920年のアイルランドを描いた問題作である。独立という同じ志を持っていた仲間や兄弟がなぜ対立しなければならなかったのか──そう、この作品の主人公は誰もが知っている英雄ではなく、愛する者のために戦うことを選んだ名もなき人々。だからこそ観客は心打たれるのだ。

映画の舞台となったコーク出身のキリアン・マーフィーもまた、このテーマに惹かれたひとり。新星と言われるキリアンだが、『プルートで朝食を』の女装青年キトゥン役などでその演技力は実証済み。この作品で彼の才気はさらに決定付けられたことだろう。それはケン・ローチ監督の「パルムドールは彼の演技あってこそ」という言葉からもよく分かる。愛するものを奪われた救いようのない哀しみをキリアンはみごとにスクリーンに焼き付けたのだ。

悲劇はなぜ起きるのか、そしてその悲劇が教えてくれる希望が描かれる『麦の穂をゆらす風』。思わず目を背けたくなるシーンも多く、観終わったあとには何とも重たいしこりが残る作品ではあるが、たまには真剣に“生きること”の意味を考えてみるのもいいのではないだろうか。

《text:Rie Shintani》

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