“映像の魔術師”が仕掛けた新感覚サスペンス『unknown/アンノウン』サイモン・ブランド監督来日インタビュー

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ここ最近、『CUBE』『ソウ』などの“密室系サスペンス”が大きな話題を呼んだのは記憶に新しいところ。そこにまたひとつ、新たな密室系と言える作品が加わった。MTVや名だたるメーカーのテレビCMのクリエイターとして活躍し、ジェシカ・シンプソン、エンリケ・イグレシアスらのプロモーションビデオでその実力を遺憾なく発揮してきたサイモン・ブランドが初めて挑んだ長編。それが『unknown/アンノウン』だ。国内外を問わず、映像クリエイターが映画に挑むのは決してめずらしいことではない。それを問うと「あえて言うなら、プロモーションビデオは短命。でも映画はずっと残るだろ? 同じ映像でもそこが違うからみんな長編をやりたがるんじゃないかな」

タイトルどおり、まさに何も分からない、誰も知らないといった“手探り状態”の撮影だったのかと思いきや、「実はもっと長い作品だったんだけど、いろいろな事情で短くなった。正直、自分の思いどおりにできなかった部分もあるんだ。次回作ではそんなフラストレーションがたまらないといいんだけどね」と、これからも映画製作に挑戦し続けていくことをいきなり明かしてくれた。

『unknown/アンノウン』は、ロサンゼルス郊外でロケを敢行。砂漠にポツンと建つ廃工場に閉じ込められた、5人の男たちが繰り広げるスリリングなストーリー展開が魅力のひとつだ。彼らはとある乱闘の末に記憶をなくしてしまう。やがて少しずつ記憶を取り戻していくが、実はそのうちの2人が人質で、3人が誘拐犯だと分かる。「一体、自分は何者なのか!?」。そんな中、ボスと名乗る男から電話があり、夜には工場に戻るという。もしも自分が人質なら、命の保障はない。タイムリミットまであと数時間……。疑心暗鬼にさいなまれた5人のヒリヒリするほどの心理戦が見事に描き出されているのだ。「ギリギリの精神状態に立った人間っていうのはどうなるのかなと思ってね。でも、記憶があろうがなかろうが、人間の本性は変わらないというのを描きたかったんだ。この映画は、別に外で恐ろしいモンスターが暴れているワケでもなければ、ただただコワさだけを追求したおどろおどろしいモノでもない。とにかく精神的な部分の移り変わりを描きたかったんだよ」

やがて記憶が戻ると、5人それぞれのエゴがむき出しになっていき、思いもよらぬ事態に発展していく…。「記憶が戻る前は、例えれば赤ん坊のような演技、つまり何も分からず見るモノ聞くモノに純粋に反応するような演技を求めた。記憶が戻ったあとはもうどんどん自由にやってくれって感じだったけどね」。また監督自身、5人の中で誰のキャラクターにいちばん近いかと聞くと、「ジーンズの男(ジム・カヴィーゼル)かな。彼が『なんとか全員でここから脱出しよう』と奮起するシーンがあるんだけど、もし僕もあそこにいたら同じように言ったと思うね」

中盤以降の加速度的な急展開にテンション上がりっぱなしの新感覚サスペンス。百戦錬磨の“映像の魔術師”が仕掛けたトリッキーな世界に大いに酔いたい。

《text:Shin Kumagai》

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