映画にまつわるファッション小噺 vol.18 モードの国のクライムサスペンス

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先日、コラムでも紹介した『愛されるために、ここにいる』に続いて、良質なフランス映画に出会いました。『あるいは裏切りという名の犬』。名前からしてただモノではない感じでしょう? こちらは、クライムサスペンス。リュック・ベッソンが失速した後、フランスではこのジャンルにいまひとつ勢いがなく、ハリウッド映画のまがいもののような感じの作品ばかりが目立ったけれど、これはいい! 凄くかっこいい! パリ市警を舞台に、善悪の境界線上で生きる2人の男を中心とした愛と裏切りのドラマを、フランスらしい抑えたリズムで追っていくのです。

サスペンスフルで最後の展開も手に汗握るのに、ハリウッドのようにどんでん返しのエンディングを売りにすることもないのがいい。ダニエル・オートゥイユとジェラール・ドパルデューの2大フランススターが共演しているのも見もの。実は、物語や彼らの演技も魅力的ですが、モードの国の映画だなと思わせるさらりとしたスタイリッシュさも素敵。まず、オートゥイユが演じるレオは、アルファロメオ・アルファGTを颯爽と乗り回しています。フランスといえばプジョーやルノーというイメージだけれど、アルファを乗りこなす刑事ってなんだか妙にセクシー。BMWでもなく、メルセデスでもなくアルファロメオ。個人的に好きというのも理由だけれど、なんだかその“微妙なハズシ”にしびれました。それから、レオが属するBRI(探索出動班)のコートもいい。いわゆるFBIとかCSIとかが着ているジャンパーのようなもので、外部で仕事するときに着る背中に部署の名前が入ったアレ。それが、ここではジャンパーではなくロング丈。捜査するには動きにくいはずなのに、あえてロングのコートを選び、裾をヒラヒラひるがえして歩く。その姿に、「合理性だけを追求しているアメリカとはここが違うのか」と、勝手に感激しておりました。

大物共演作とはいえ、美男子ではなくゴツおじさんだけなのに、このおしゃれ感はいったい何? 登場するインテリアも目を見張るものが。良質のサスペンスだけでなく、フランスのエスプリも楽しめる。男臭さが全編に漂いますが、実は女性もしびれる逸品です。

《text:June Makiguchi》

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