おうちシネコンコラム vol.2 イギリスが生んだ伝説のロックバンドの誕生と最後──華やかな世界の裏に隠された美しきミュージシャンたちの人生

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『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』 メイン
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ニルヴァーナ。衝撃的なサウンドと強烈なメッセージで時代の寵児となった、言わずと知れた伝説のロックバンドだが、1994年4月5日にカート・コバーン(ヴォーカル)が自ら命を絶ったことで幕を閉じた…。コバーンの死、そしてその少し前に親友であるリヴァー・フェニックスの死を経験していた監督ガス・ヴァン・サントは、彼らの死に大きな影響を受け、カート・コバーンへの追悼作品として『ラストデイズ』を製作した。『GERRY ジェリー』『エレファント』に続く、ガス・ヴァン・サントの「人生の“最期”に対峙した3部作」の3作目となる本作には、時代の頂点を極めたロックアーティストが自ら命を絶つまでの最期の2日間──華やかな世界からは想像し難い孤独、絶望、不安、痛みが淡々と綴られている。

リハビリ施設を抜け出し自宅に戻ったブレイクを待っていたのは、仕事をつつくスタッフからの電話、そして彼の才能、名声、金にむらがる連中。皆が寝静まった夜、1人で「Death to Birth」を演奏するブレイク。そして明け方…。

主人公・ブレイク役に選ばれたのは『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』でロックスターに成長するトミーを演じて注目を集めた個性派俳優、マイケル・ピット。“パゴダ”というバンドでミュージシャンとしての活動も行っており、劇中曲の「That Days」、「Death to Birth」の2曲を自身が作り演奏している。

『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』。こちらも同じく架空のロックバンドを描いている作品だ。面白いのは本当に存在したバンドを追っているかのような作りになっていること。1975年のイギリスで鮮烈なデビューを飾ったザ・バンバン。体はひとつ、頭がふたつの双子の兄弟・トムとバリー率いるロックバンド。美しくもひとつの胴体で繋がれた彼らは怒りと悲しみを糧に次々と傑作を生み出していくが、同時に酒、ドラッグに溺れ破滅へと向かっていくのだった。

このフィクションでありながらもドキュメンタリーのような映画を作りだしたのは、監督キース・フルトン&ルイス・ペペの2人。10年以上にわたりドキュメンタリーを中心に映画に取り組んできた異色コンビだ。イギリスSF文学の巨匠、ブライアン・オールディス(本作は『A.I.』に続く映画化となる)の原作をもとに呪われた運命の兄弟の生涯を妖艶にスクリーンに映し出している。

ロックバンドの誕生と衰退を描いているということで、ライブシーンもこれまた衝撃的。ライブの臨場感はもちろん、結合体双生児を演じた一卵性双生児のルークとハリー・トレッダウェイの圧倒的存在感! 1年という準備期間をかけ役に挑んだ彼らの美しさと狂気を併せ持ったオーラにぞっとする人は多いはず。

同じイギリスのロックアーティストを主人公にしながらも全くテイストの違う『ラストデイズ』『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』。張り裂けんばかりのトムとバリーの魂の叫び、そして静寂の自然とともに息絶えるブレイク──頂点を手にした2つのロックバンドの果てを目にすることで、何故、彼らがあれほど胸に響く曲を生み出せるのが理解できるような…そんな気持ちにさせてくれる2作なのである。

《text:Rie Shintani》

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