どんな苦境であっても希望を『グアンタナモ、僕達が見た真実』ローヘル・アフマド、シャフィク・レスル来日インタビュー

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どんな苦境であっても希望を『グアンタナモ、僕達が見た真実』ローヘル・アフマド、シャフィク・レスル来日インタビュー
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2001年。アフガニスタンで戦闘に巻き込まれた4人のパキスタン系イギリス人の青年たち(アシフ、ローヘル、シャフィク、ムニール)は無実の罪でアメリカ軍に拘束され、テロリストとして米軍基地グアンタナモに送られてしまう。拘束期間は2年半──。彼らが再び自由を手に入れるまでを描いたのが、『グアンタナモ、僕達が見た真実』だ。世界中に衝撃を与えたこのショッキングな事件の当事者であるローヘル・アフマド、シャフィク・レスルが来日。映画化について、そして今の心境を語ってもらった。

映画化に踏み切ったのは『24アワー・パーティ・ピープル』『CODE46』『イン・ディス・ワールド』のマイケル・ウィンターボトムと、コールドプレイなどアーティストのミュージック・クリップを手掛けてきた新鋭マット・ホワイトクロス。2人の監督はアシフ、ローヘル、シャフィクへの長期に及ぶ取材を行い、そのインタビューをもとに映画を製作した。実際のニュース映像、3人のインタビューも使われているが、自分たちの経験したことすべてを話すことに抵抗はなかったのだろうか。
「もちろん、抵抗はありました。映画になるということはすべてをさらけ出すということですから。ただ、自分の家族については描いていません。ガールフレンドを映画の中で描くという話もありましたが、それはあまりにも個人的すぎるということで避けてもらったんです」(ローヘル)

リアリティを重視した監督は3人とできるだけ似たバックグラウンドを持った俳優を望んだ。結果、演技経験がほとんどない俳優が選ばれたが、2006年のベルリン映画祭ではみごと銀熊賞(監督賞)を受賞。今まで明かされなかった衝撃の事実が描かれていたこと、そして3人の青年たちの友情と成長が多くの人の心を掴んだのだ。完成した映画を観ての感想を2人に訊ねると──
「最初に観たのはベルリンでしたが、とても感動したことを覚えています。1時間半で2年半のすべてを描くことはできません。でも、自分たちに起きたありのままがそこに描かれていたんです」(シャフィク)
「とても忠実な映画で感激しました。ベルリンで自分の知らない人たちが映画を観て泣いているんです。他人の体験に涙を流す──その姿に感動しました」(ローヘル)

たった1時間半ですべてを語ることができないように、短い取材時間で過酷な2年半の心情を語ることも難しい。2人の「すべてが辛く、すべてが怖かった」という言葉からもいかに苦境であったかが伝わってくる。映画には誘導尋問、情報操作、非人間的扱いなど、目を覆いたくなるシーンも登場するが──
「中でも次に何が起きるのか分からないという状況が一番怖かったです。一番辛かったのは、僕達は4人でアフガニスタンを訪れたのに3人になってしまったこと。今でもムニールの行方が分からないんです。生死すら明らかになっていない。彼の兄弟や家族にムニールが今、どうなったのかを話すことができない…それが苦しいですね」(シャフィク)
「僕もムニールがどうしているのか分からないことが一番辛い。また、僕らは無実なのに地上で最も忌まわしい人間であるかのような扱いを受けたんです。それが辛かった。さらにそれを多くの人が真実だと信じたこと、それも辛かった。アメリカの正義のために自分たちの名誉が奪われてしまったんです…」(ローヘル)

ローヘルとシャフィクに会った印象は本当にごく普通の青年であるということ。それは、誰もがテロ事件に巻き込まれる可能性があるということでもある。そして、辛い経験ではあったが、グアンタナモでの日々を通じて価値観が大きく変化した、と語る2人。
「命の尊さ、全ての人類の命がいかに大切かということを改めて知りました」(ローヘル)
「宗教について考えたり、生き延びようと努力する中で心の平穏を見出すことができました。これで僕の人生は終わり…と考えるのではなく、これからきっと良いことが起こるんだと、どんな苦境であっても希望を見出すことを学びました」(シャフィク)

スクリーンを通じて彼らの体験を味わうことで、観客の価値観もまた大きく変わることだろう。今も繰り返されるテロについて、理不尽な政治のあり方について──『グアンタナモ、僕達が見た真実』は生きることを真剣に考えさせてくれる映画なのである。

《text:Rie Shintani》

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