僕を“生きる”、今を“生きる”『Life』綾野剛インタビュー

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中性的な色気を放つ俳優──『Life』に映し出されている綾野剛の印象を一言で表すとしたらそんな形容詞が当てはまるのではないだろうか。モデル、バンド活動を経て『仮面ライダー555』で俳優デビューを飾り、劇場映画初主演となる本作では、地方でキャンドル・アーティストの道を歩む青年・勇を演じている。日々の生活の中で繰り返される喜び、痛み、苦しみ、希望、愛…この『Life』は当たり前だと思っていたことを特別に感じさせる、不思議な力がある映画だ。

「オファーをもらって最初に脚本を読んだときは、30分くらいの短編だったんです。ただ、その中には僕がこれまでの人生で体感したことのあるものがたくさん詰まっていて…どこでも誰にでも起きることだからこそ逆に演じることが怖くもありました。今の自分にこなせる役なのかと。それくらい力のある役だと思ったんです」

確かに『仮面ライダー555』のようにデフォルメされたキャラクターと比べると、勇という青年を演じることは数倍難しいようにも思える。

「以前、僕の演じた仮面ライダーは怪人でありながらも人でありたいと願い、また恋をするという人に近い感覚をもっていた。今回の勇も最初はそれに似た渇いた印象を抱いていたんです。僕自身、渇いている感じに見られることが多いんですけどね(笑)。でも、実のところはすごく湿っぽくて熱いものを秘めている。それを出さなきゃいけない役だな、と。改めて“普通”を演じることの難しさを知りました」

内面から滲み出てくるものを表現したいと、役作りには1ヶ月の時間をかけたそう。そして、スタイリストとしての経験を活かし自分で服を選び、それを着て過ごしたというところにも、綾野さんがどれだけ役を真摯に受け止めているかが伺える(劇中着ている白いカーディガンのボタンは綾野さん自身がデザインして付けたもの)。さらに、今回は主演に加え音楽も担当しているが、意外にもサントラとして使われている楽曲は「自分と役のメンタルを支えるために音楽を作ったんです。結果的にプロデューサーが気に入ってくれてそのまま使うことになったんですけどね…」と、役作りの一貫だったことを明かす。サントラのジャケット・デザインも手掛けているというのだから、なんて多才な人なのだろうと驚かずにはいられない。

そうした入念な役作りは「自分自身と正面から向き合う時間でもあった」と振り返る綾野さん。
「思い出せたことがたくさんあるんですよ。僕、上京して6年になるんですけど、いつの間にか時間に縛られて(苦笑)、心臓もネズミのように(小さくて早く鼓動を打つことの喩え)なっていたと思うんです。些細なことかもしれないけれど、勇を演じることで空を見上げることを思い出したんです」。現代の若者には珍しく勇は携帯電話を持たない青年。そんな設定も納得できる。

続いてキャンドル・アーティストという役について訊いてみた。
「実際に活躍しているキャンドル・アーティストの方が作ったキャンドルに囲まれての撮影はすごく崇高でした。自分の作った作品に火を灯す、それは自分の作品を溶かすこと。そういう芸術作品ってなかなかないなって。だから、キャンドル・アーティストという役を──自分の思いが詰まったものを溶かして、また継ぎ足すことができるものと捉えて演じました」

溶かして継ぎ足す──それは淡々と繰り返される生活=Lifeという言葉にもつながっていく。
「“Life”…大好きな言葉ですね。以前は“生きる”よりも“生活”という捉え方の方が強かったけれど、僕を“生きる”、今を“生きる”に変わっていった。世界は変わらなくても僕達の日常は少しずつ変わっていきますよね。それと同じように“Life”という単語自体に色々な言葉を足すことで無限に形を変えることができると思うんです。例えば、“beautiful life”とか。だから観る人にも色んな言葉を付けて何かを感じてほしいです」

癒しブームの現代。疲れた体を癒すことはもちろんだが、本当に癒しを求めているのは“心”。綾野さんが「映画を観て、『それでも明日は来るんだな…』と、そんな当たり前を感じて、気付いてもらえたら嬉しい」と語るように、観終わったあとにはキャンドルの灯のような温かさを感じるはず。そして役者はもちろん、スタイリストとして、バンドmr.a(ミスター・ドット・エー)のフロントマンとして、様々な色を放つアーティスト綾野剛の今後に益々期待したい。

《text:Rie Shintani》
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