芽生える、春 vol.2 自分に目覚める季節を描く『あしたの私のつくり方』

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4月。入学や入社、転校、転職など、人と別れたり出会ったりすることが多い季節です。複雑な社会の中では、それにともない多少なりとも緊張が漂います。

親しんだ人々から離れて、未知の環境の中に飛び込み新生活をスタートするということは、誰でもドキドキ。自分がここに馴染めるのか、それとも浮いてしまうのか。特に“学校生活が人生のすべて”であるかのような小、中、高校生にとっては特に。さらには、イジメ問題なども渦巻いているだけに、知らず知らずのうちに人気者を演じていたり、人と違ったことをしないよう自分を抑えたり、違和感を感じながらも、必死に環境に溶け込もうとするものです。そんな“ゆらぎ”の季節の中で、アイデンティティを目覚めさせていく少女たちの姿を、一風変わった友情の物語にのせて繊細に綴っているのが『あしたの私のつくり方』

残酷なのに無邪気、幼いのに大人びている。そんな複雑な時期を誰もが経験しているもの。わざわざ一緒にトイレに行ったり、友達の部活が終わるのを待ってまで短い距離を一緒に帰ったり、グループと離れて行動するのが不安だから行きたくもないカラオケに行ったり…。誰でも、本当の自分を押し殺して、相手に合わせてしまうということがあったのではないでしょうか?

どこにでもあるような平凡な学校生活を舞台にしつつ、人格形成に関わる心の一大事を映し出すこの作品。子供から大人へと成長していく少女たちの心の過程を見事に捉えているのは、CMでもおなじみの市川準監督。監督が手がけた田中麗奈出演の調味料の広告は、ふんわりとした優しさと透明感に包まれていて、独特の暖かさを醸し出していましたが、その世界観は本作でも存分に堪能できます。揺れる少女たちを透明感溢れる映像で綴ることで、大人には見えにくい十代特有の世界を浮き彫りに。綺麗に見えても実はドロドロ、生き残るのは結構大変なティーンの世界の実情が見えてくるのです。

でも、自分のことを振り返りながら主人公たちの様子を観察していると、実はあることに気づきます。「私って大人になった今でも、彼女たちと同じことをやっているような…」。つまりこの映画は、大人になった迷える少女たちに「そろそろ自分らしさを尊重してみては」と優しく囁いてくれてもいるのです。

春はもうすぐそこ。この映画なら、自分を花開かせてみようかと思うきっかけになってくれるかもしれませんよ。

《text:June Makiguchi》
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