映画も語る言葉も正反対な作家・乙一と桜井亜美による“東京”を舞台にした監督作品

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『東京小説〜乙桜学園祭〜』安達寛高監督、桜井亜美監督
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  • 『東京小説〜乙桜学園祭〜』 桜井亜美監督
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小説家として活躍している桜井亜美と乙一。この2人が、彼らの小説の雰囲気そのままに映像物語にした『人魚姫と王子』(桜井亜美)と『立体東京 3D-TOKYO』(安達寛高)。それぞれ“東京でひとりぼっちの少女”をテーマに書き下ろし、2本立てで公開される本作について、また映画製作について2人に話を聞いた。

『人魚姫と王子』の桜井監督は、本作が初監督となる。映画界で活躍する若手実力派、つぐみと柏原収史を起用した。
「キャストの方たちが私の好きな俳優さんばかりだったんです。自分が思っていた以上に素晴らしい芝居をしていただきました。最初はもっと自主映画っぽいものを予定していたんですが、最高のキャストだけではなくスタッフの方にも集まっていただき、ロケハンも何度も重ねて場所も決まって、と進んでいく中で、観客にちゃんと楽しんでもらいたいという意識が強くなってきたんです」。

対する安達監督は、『ZOO』『暗いところで待ち合わせ』などの原作者であり、6月には『きみにしか聞こえない』の映画化作品も公開される。
「僕は撮影自体は2年も前にやっていたんです。それから仕事が忙しくなってしまってその合間に編集や合成などやっていたら2年も経ってしまいました。かかわってくれたスタッフも『あの映画はもうお蔵入りになるんじゃないか』ってみんな心配してくれていたから完成させられてホッとしています」と語る。

「小説というのは、一つのモノを追求して、穴の中にどんどん入っていくイメージ」と言う桜井監督。本作を製作するに至った経緯はこうだ。

「最初に『Marmaid Skin Boots』という本を書いていて、これを映画にしたいな、っていう漠然とした気持ちがあったんです。でもその時はまだあまり方法論とかが分からなくて。その後、『虹の女神 Rainbow Song』という作品で岩井(俊二)監督と一緒にシナリオを作っていったときに、なんとなくシナリオと小説の決定的な違いが分かったんですよね。それに、私のシナリオでラジオドラマをやった時、監督も担当したのでそれも役立ちました。もちろん音だけだったんですけど、音で映画を作る過程がすごく面白くて。音だけって逆に、リアルな距離感や人間関係を想像させるんですよね。実際にそれはCDにもなったんですけど、それを聞いて、あとは映像さえあれば映画になるなと思いました。今回は映像表現で一番気になる、“心に見える色”に特化した作品を作りました」。

一方、安達監督は次のように語る。「色というのは、僕がそぎ落としてしまった要素。これまでにいくつか自主映画を作ってたんですけど、この辺でちょっと映画というものを中断して、短めの映像作品を作ろうと思ったんです。映画というスタイルに自分はこだわりすぎてしまっている部分があるような気がして。もっと単純に、映像を作ろうと。デジタルビデオとパソコンが今、手元にあって、それで何か面白いことが出来ないかと考えて、立体映像をやってみようと思ったんです。映画というよりは立体映像の研究のつもりで、映画としての完成度よりも立体映像集としての完成度の方を目指しました。…といってもプロの立体映像の写真家さんの作品に比べると全然出来てないんですけど(笑)。一つの作品として観たとき、もしこれが普通の映画だったら自分はカットするなというところも実は残してます」。

語る言葉も、その作風も正反対の2人。その2作品が集まった『東京小説〜乙桜学園祭〜』。しかし“東京”を舞台にした2人の女の子には“ひとりぼっち”という共通点がある。見方によって、ストーリーによってこうも違う姿が描かれることを、そして違うとはいえ、女の子だったら誰もが持つ側面であることを感じられる作品たちだ。

ヘアメイク:橘房図
《text:cinemacafe.net》
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