僕は若い人に伝えたいことがある──『スカイ・クロラ』押井守監督の決意表明

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新作『スカイ・クロラ The Sky Clawrers』について語る押井守監督
  • 新作『スカイ・クロラ The Sky Clawrers』について語る押井守監督
  • 『スカイ・クロラ The Sky Clawrers』 -(C) 森 博嗣/「スカイ・クロラ」製作委員会
  • 『スカイ・クロラ The Sky Clawrers』 押井守監督
『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』や『アヴァロン』の押井守監督が、『イノセンス』以来、実に4年ぶりにメガホンを握るアニメ作品『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』。2008年に公開が予定されている本作の記者発表が6月20日(水)に行われ、押井監督が作品について語ってくれた。

「飛行機や戦闘機が出てくるので『また、戦争ものか』と言われるかもしれませんが、今回の戦争はどちらかというとストーリーの背景です。16、7歳くらいの男女が架空の国で戦闘機に乗って戦うというストーリーで、言ってみれば愛と生と死の物語。以前から“恋愛映画だ”と言い続けていたのに、誰も信用してくれなかったんですが(笑)」とまずは苦笑い。

『イノセンス』の次の作品をどうしようか迷っていた時に、森博嗣さんの原作でアニメでやらないかと言われたんです。僕は今まで、アニメーションというジャンルにもかかわらず30〜40歳代のおじさんとかおばさんを主人公としていたので、最初はお断りしたんです。戦闘機を道具にするのは興味があったんだけど、若い人を描くということが出来るのかどうか自信がなくて。でも気が変わって引き受けることにしました。僕にとって『気が変わる』というのは良い兆候なんです(笑)。とはいうものの、自分で本を脚本を書くと、また『イノセンス』みたいになってしまうので、それは止めようと思いました。そんなとき、行定監督に伊藤ちひろさんという脚本家を紹介されたんです。今までは女性脚本家や原作者とは相性が悪かったから心配でしたけど、これまでのやり方だと若い人の物語は書けないと思ったんです」と製作に至った経緯を語った。

この作品を通じて「若い人に伝えたいことがある」と言う押井監督。「今までは、自分のことでいっぱいいっぱいで若い人に言える言葉なんかなかったんです。ですが、最近心境の変化がありました。私事で恐縮ですが、ずっと離れて暮らしていた娘と20何年ぶりに再会したんです。そのおかげで若い人が身近に感じられるようになりました。55年間生きてきてようやく、自分なりに“生きることの現場”にいるんだという実感がわいてきたというか…。だからそれを伝えたいし、積極的に話していくべきなのではないかと思ったんです。今の若い人に説教をたれるとか、希望を語るなんてことはしたくない。ただ一つだけ言えるのは、とりあえず生きてみることに価値があるんだよ、ということ。生き方の選択肢って実は少ないと思うんですよ。人生は辛いものだし、不幸になることを覚悟すれば、それが情熱の対象になるんじゃないか、不幸になるということは人生の醍醐味の一つなんじゃないかと思います」と熱い思いを露呈した。

2008年には、宮崎駿監督の最新作も公開される。そのことについて監督は「三鷹の巨匠とはバッティングすることが多いんですよね。狙ってるわけじゃないんですけど(笑)。今回の宮崎さんの作品は彼にとって転機になると思うけど、競合するとは思えないから大丈夫だと思いますよ。ある意味で似ているんですよね、作品も。『イノセンス』『ハウルの動く城』が似ていたように、今回も似てくると思います。波長ですかね…」と笑う。『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』も押井監督にとって「転機になると思う」作品だそうだ。「切実なドラマになると思っています。本気でドラマに取り組もうと思ったのがこの作品を作ろうと思った最大の理由なんです。ラブシーンにも濡れ場にも挑戦しました。艶のある人生を描きたい。ある意味、技量を試される作品だと思っていますし、情緒的な映画を目指します」と決意を語ってくれた。

若い世代から熱狂的な支持を受けているベストセラー作家・森博嗣も「押井さんなら大丈夫。一人の押井ファンとして完成が楽しみ」と語る『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』は現在鋭意製作中。2008年に全国で公開される。

© 森 博嗣/「スカイ・クロラ」製作委員会
《text:cinemacafe.net》

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