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光と影の戯れで描かれるハードボイルドな世界『ルネッサンス』の監督が語る

2054年のパリを舞台にハードボイルドな世界を繰り広げる『ルネッサンス』。グレーも使わずに、白と黒の2色だけで製作された本作は、クリスチャン・ヴォルクマン監督にとって長編デビュー作となる。「自分の長編第一作はモノクロがふさわしいと思ったんです」という監督に話を聞いた。

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『ルネッサンス』クリスチャン・ヴォルクマン監督
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2054年のパリを舞台にハードボイルドな世界を繰り広げる『ルネッサンス』。グレーも使わずに、白と黒の2色だけで製作された本作は、クリスチャン・ヴォルクマン監督にとって長編デビュー作となる。「自分の長編第一作はモノクロがふさわしいと思ったんです」という監督に話を聞いた。

小さな頃からアートや映画などに興味を持っていた監督は、フリッツ・ラングやエイゼンシュタイン、『ブレードランナー』や日本のアニメに影響されているという。
「たくさんの映画を観て、たくさん感動してきました。こうした作品たちが、僕の持つモノクロ映画のイメージと強く結びついて、映画を作るのだったらモノクロがいいな、と漠然と思っていたんです。モノクロ映画の特徴は、光と影の戯れで強い印象を与えるということだと思っています。そういう非常に制約された魅力を持ちながら、強い感動を観る人に与える力を持っているんじゃないでしょうか? 実際にリアリティを見せるのではなくて、感じさせる力を持っていると思うんです」。

加えて、監督が採用したグラフィックの手法はアジア的だそうだ。
「アジアにはそれぞれ、国の伝統というのがありますよね。浮世絵なども色の付いているものもありますけれども、モノクロのものも多い。そういう“光と影の戯れ”を映画に応用したんです。その強いインパクトが、『ルネッサンス』で表現しているような恐怖やネガティブな感情にぴったりだと思ったんです」。

バイオレンス、アクション、サスペンス、ラブロマンス…いろいろな要素が複雑に入り組んでいるストーリーが展開する脚本には、監督自身も参加している。
「脚本家はほかに2人いるんですけれども、常にディスカッションしながら進めていきました。グラフィック的なものと物語とストーリーボードを描きながら、それを脚本家にも見てもらいつつ、仕事を進めてきました。それだけで2年かかったんですよ」。

ボイスキャストは、ダニエル・クレイグやイアン・ホルム、ロモーラ・ガライなどそうそうたるメンバーだが、ほとんどがイギリス人。これには大きな理由があった。
「第一の理由としては、この作品がイギリスとフランスの合作映画であること。音入れはロンドンでするのが一番都合が良かったんです。だから、ロンドンで活動していたり、そこに来られる圏内に住んでいる人たちを起用しました。イギリス人俳優の多くが舞台も一緒にやっているということがあるので起用しやすかったというのが第二の理由です。ダニエル(・クレイグ)に関してはジェームズ・ボンドをやる前だったんですよ」。

そんな彼らが演じているキャラクターは実にバラエティに富んでいる。過去のトラウマから逃れられない警官や、才色兼備の若き天才科学者、裏世界に堕ちてゆく美女、狂気に魅入られたかつての天才技師、多国籍企業の敏腕経営者…。
『ルネッサンス』はアニメですけれども、その中でいろいろなタイプの人を登場させたいと思ったんです。例えば“ファム・ファタル”と呼ばれる宿命の女みたいなタイプもいれば、ちょっと性格の歪んで屈折した警官がいたり、ちょっとクレイジーな科学者がいたり…。自分の周りにも、いろいろなタイプの人がいるんですけれども、そういう人を映画の中に登場させてみたかったんです」。

「この映画を観て、非現実的な物語の中に引き込まれて、いつもの自分を離れて旅をしていただければ嬉しいです。ちょっとありきたりかもしれないですけれども、見慣れた光景を見ていただくのではなく、想像の世界を旅して遊んでいただきたいです」と最後にメッセージをくれた監督。「1時間半の作品に7年もかけてしまった」という長編デビューとなったが、今後の活躍に期待できる大型新人監督の誕生の瞬間をぜひ観てほしい。
《シネマカフェ編集部》

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