ファッション小噺vol.50 ベルトをしたダイアン

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『恋とスフレと娘とわたし』
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久々に、濃厚なファッションを展開する映画を観た気がしました。『プラダを着た悪魔』の悪魔=メリル・ストリープが見せた個性的なファッション・ショーは、目がチカチカするほどゴージャスだったけれど、これもある意味では同程度に特濃。何といっても、ファッションでは映画界イチ個性的なダイアン・キートン様が主役ですから。

彼女が新作『恋とスフレと娘とわたし』で披露したのは、「待ってました!」の極太ベルト姿。これは、ウディ・アレン監督作『アニー・ホール』(アカデミー賞主演女優賞受賞)で見せた独特ファッションの流れを大いに汲んだもの。トラッドスタイルを個性的に着崩し、ツイードのジャケットに太いベルトを着用して登場した彼女。このスタイルを含む“アニー・ホール・ルック”のあまりの斬新さには、ちょっと面食らった人もいたけれど、この作品でダイアンが着たラルフ・ローレンは当時大ブレイク。彼女自身も、媚びない知的でお洒落な女性の象徴となりました。

それ以降も、影を潜めたり、顔を覗かせたりしながら、ダイアンを引き立てていた“アニー・ホール・ルック”。男運の悪い娘の幸せを願って、ちょっと行き過ぎてしまう母親役を演じている『恋とスフレと娘とわたし』では、その進化形とも言えるベルト・スタイルを見せています。

細身のパンツと丈長ニット+幅太ベルト、水玉のワンピース+幅太ベルト、ジャケットにももちろん幅太ベルト。幅の太さは年を経てパワーアップしているような気もします。そんなに太くてどうするの、そんなものにまでベルトをしちゃってどうするの、と突っ込みたくなる場面も多数。そのくらい、もうご乱心というぐらいベルト、ベルト、ベルト…。

ここまで来ると、立派な信念です。これを流行させようとか、ファッション・リーダーに再びなろうとか、そういう邪念など一切感じられません。本当にご立派。この幅太ベルトは絶対に流行らない。私も絶対、手を出しません。でも、物凄くカッコいい。ダイアン・キートンの体に巻きついているときだけは。

《text:June Makiguchi》

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