「完璧じゃない自分自身と向き合うことが大事」『ショートバス』のリー・スックイン

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『ショートバス』 リー・スックイン photo:Yoshio Kumagai
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ジョン・キャメロン・ミッチェル監督の新作『ショートバス』でリー・スックインが演じているのは、オーガズムを味わったことのないカップルカウンセラーのソフィア。彼女がミッチェル監督の作品に出演するのは『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』に続き、2度目となる。「ジョンと最初に会ったのは『ヘドウィグ〜』のオーディションの時。彼は何もない部屋にたったひとりで座っていたの。普通のオーディションでは、テーブルの向こうに何人かの人たちが威圧的に座っているものなのにね。しかも、オーディションを終えた彼は、“OK! 一緒に映画を作ろう!”とその場で言ってくれた。これって、かなり衝撃的なことよ(笑)。普通なら、結果の返事が来るまで数週間はかかるもの」。

「“彼は本当に特別な人なんだな”と思った」というスックインは、『ヘドウィグ〜』の撮影中からすでにミッチェル監督と再び一緒に映画を作ることを強く望んだという。「彼の俳優としての集中力や監督としてのビジョンの持ち方に感銘を受けたの。だから、“次の作品を作る時は絶対に声をかけてね!”と言ったわ。けれど、『ショートバス』のアイディアを教えてもらった時は“楽しそうだけれど怖いな”と思ってしまったのが本音ね」。

しかしながら、「やはり参加したい気持ちが勝ち、オーディション用のテープを作った」のだそう。ちなみに、『ヘドウィグ〜』のオーディションでは自分が監督した短編映画を見せたというスックインだが、今回のオーディション・テープの中身はどんなものだったのだろう? 
「“最も印象深い性的体験を語りなさい”という課題がオーディション参加者全員に与えられていたの。だから、私はティーンの時に抱いていた性に対する恐怖を語った。10代の頃って、オーガズムも体験していないし、自分に対しても他人に対しても性的に居心地が悪くなってしまうものでしょう? けれど、年齢を重ねるにつれ、セックスに対して自分なりの喜びを見出せるようになる。そういった心の変化を語ったのよ」。

ソフィアのキャラクターは、テープの中で語られた内容がもとになって生まれたという。ということは、ソフィアはスックイン自身でもあるのだろうか?
「イエスでもあり、ノーでもあるわ。どの役を演じる時も自分を投影するものだけれど、ソフィアの場合は自分の最も恥ずかしい部分を集めたと言えるかな(笑)。ただ、自分自身をスクリーンに映すことに興味はないから、キャラクターはきちんと作り上げたつもり。私が語ったのはティーンの頃の思い出だけれど、“自立した大人の女性がそういった悩みに直面していたら面白いんじゃない?”と提案したの。だから、ソフィアを見て、“これ、本当に私が演じたの?”と思うこともあるのよ」。

『ショートバス』の中では、ソフィアをはじめとする男女7人が自身のアイデンティティを模索しながら、人とのつながりを求めてさまよっている。それぞれのキャラクターを丁寧に見つめたアンサンブル・スタイルが作品の持ち味だが、自分以外のパートについてはあまり知らされていなかったのだそうだ。
「それぞれのキャラクターを独立させることが大事だったからだと思うの。どの登場人物にも普遍的な要素が込められているけれど、特に共感したのはジェイムズに対してかな。彼の物語には“他人や愛を受け入れられなかったらどうしよう?”という不安が描かれている。それって誰もが直面する問題よね。もちろん、ソフィアが抱えている問題もそうよ。現代に生きる女性たちはみんな仕事で成功し、料理を完璧にこなし、セックスも上手になり、外見もよくなりたいと願っている。しなくてはならないことが多すぎるから、自分が何を求めているのかわからなくなるし、完璧じゃない自分を受け入れられなくなるのね。完璧じゃない自分自身と向き合うことって、誰にとってもすごく大事だと思うわ」。

《text:Hikaru Watanabe / photo:Yoshio Kumagai》

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