「ホラーというよりは、ちょっと不条理な普通の話」堺雅人が『壁男』を語る

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『壁男』堺雅人 photo:HIRAROCK
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壁の中には“壁男”がいる。そんなたわいもない都市伝説に取り憑かれてしまう男を描いた諸星大二郎の漫画「壁男」。ジャンルを超えた作品を発表し続けている彼の、この異色短編作品である本作を映画化した『壁男』で、主人公のカメラマン・仁科を演じた堺雅人に話を聞いた。

これまでに出演してきた作品とは少々異なる趣の本作。堺さんは、「最初はあまりホラーだと思っていなかったんです」と言う。
「ホラーっていう話を聞いたのは結構最近で、ホラーだったんだ、って思いました(笑)。僕はむしろ、ちょっと不条理な普通の話、と言うとおかしいかもしれませんが、モチーフとしては、それほどホラーに類するものでもないと思ったんです。誰もが持ってるであろう、ここではない世界への憧れというか、壁の中にもう一つ世界が広がっているんじゃないだろうかという考えって形こそ違え、みんなが持っているものなのかなって気がするんですよね。例えばオカルトに憧れる気持ちだとか、ドラマや映画を観たいと思うフィクションに憧れる気持ち、つまり日常世界ではないパラレルワールドに憧れる気持ちとかですよね。だからごくごく真っ当なストーリーだと思いました」。

だからこそ本作への出演を決めたと言う堺さんだが、もう一つ大きな理由があった。
「早川監督という北海道で活躍していらっしゃる方が北海道の人々を使って、北海道で撮るという企画が面白いなと思ったんですよね。僕と小野さん以外は道内の俳優さんですし、スタッフもほとんどの方が北海道で活躍していらっしゃる方なので、その方たちに混じって、札幌人気分というか、札幌人のフリをしてそこにいるというか(笑)」。

「あの風景は札幌じゃないと出なかったと思うんです」と撮影の時のことをふり返る。
「雪国の人が思う壁は、東京の壁とはちょっと違う気がしたんです。撮影前に諸星大二郎さんの原作を読んだんですけど、やっぱり湿度がちょっと高いというか、人間の皮膚感覚というか…。体温が感じられるテイストで、脚本の世界とはずいぶん違うんだなって感じたんですよね、どこかドライというか」。

確かに作品を観る限り、ジャパニーズ・ホラー特有のじっとり、ねっとりした雰囲気はない。堺さん本人も「ホラーだと思ってなかった」と言うくらいだ。
「どこか乾いていると思うんです。人間関係もそうだし…もちろん、それは悪い意味ではなくて、単に湿度が低いというか。でもそれは作品が、というよりは“札幌が”なのかな? そういう風土なんだと思うんですよね」。

その風土に自ら飛び込んだ堺さん。撮影期間の3週間はホテルではなく、ウィークリーマンションで暮らしていたそうだ。
「撮影が早く終わったらスーパーに寄って買い物して帰ったり、休みの日は近所の喫茶店に行って本を読むとか、そういう生活をしてました。それがすごく楽しくて、カメラが回っていないところでも札幌の風土を味わいましたね。僕にとっては、そういう時間も含めて『壁男』の撮影だったと思うんです」。

最後にホラー作品へ出演した感想を聞くと「だから、ホラーじゃないって思ってたんだって! いまでもホラーだとは思ってないです」と笑った。ドラマで映画で舞台で活躍を続ける彼の初ホラー出演はまだまだ先になりそうだ。

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