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「また監督業をやってみたい」石井竜也が10年ぶりに語る『河童』と『ACRI』

1994年に『河童』、1996年に『ACRI』と監督作品を発表した石井竜也。その2作品が満を持してDVD化され、12月5日(水)に発売された。「とにかく率直に嬉しい」と満面の笑みで話す石井監督に、当時のこと、作品について、いろいろ話を聞いた。

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『河童』、『ACRI』 石井竜也監督 photo:Shinya Namiki
『河童』、『ACRI』 石井竜也監督 photo:Shinya Namiki
  • 『河童』、『ACRI』 石井竜也監督 photo:Shinya Namiki
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  • 『河童』、『ACRI』
1994年に『河童』、1996年に『ACRI』と監督作品を発表した石井竜也。その2作品が満を持してDVD化され、12月5日(水)に発売された。「とにかく率直に嬉しい」と満面の笑みで話す石井監督に、当時のこと、作品について、いろいろ話を聞いた。

「LD(レーザーディスク)の映像を見ても、その前のVHSの映像を見ても、やっぱり再現性が良いとは言えないんですよね。しかもいまほど日本映画が盛り上がっていなかったときに莫大な金額をかけましたし、本当にいろんな人の血と汗が流れた映画だったもんですから、手頃な値段でみんなに観てもらえるというのは、本当に嬉しいです。DVDが浸透してきたのって、本当にここ3年くらいですよね。そう考えると機が熟したのかなと思います。いまはブルーレイとかも出てきて、映像がどんどんきれいになってきてる。特に『ACRI』なんかはものすごいきれいに絵がフィルムに焼きついてるからブルーレイにも対応でき得るだけの美しさは持っていると思うんです。そういう意味で、作品のテーマ性も含めて、いまだから出せるもの。僕としては5年前に出るよりもいま出るほうが嬉しいですね」。

本当に嬉しそうにニコニコ語る監督だが、当時の周囲の目はあまり温かくなかった。
「当時、異業種監督という言葉が巷で流行ってて、“曲が売れて儲かったから作るんじゃん”くらいにしか思われてませんでしたから、『ナニクソ』と思いながら絵コンテ一個一個描きながらやってたんですけどね。そのうち、少しずつスタッフのみなさんに“こいつは本当に撮りたいんだな”っていうのが伝わって、そこからみなさんの情熱で転がっていきました。映画化まで本当に長かったですね。『河童』が出来るまで2年くらいかかってるんですよ。とにかく自分で出来得ることだけでも全部作っておこうと思って、音楽と絵コンテをまとめていったんです」。

「ただのクリーチャーものと言われたくなかった」と言う監督。作品の持つテーマやストーリーにこだわった。
「ファンタジーが好きなんです。人が映画に求めることって何だろうと考えたとき、僕の場合は日常からかけ離れたものを観たいと思うんです。だけど、そうでありながらも、もっと現実的に感じられるようなもの、もっと情を映しこめるものを作ってみたかったんですよね。日本の伝説とかが映画になると、途端に漫画チックになるじゃないですか? そうじゃなくて、ちゃんと人間性とか人しか持ってないもの、例えば親子関係だったり、そういうのが描かれていることが自分にとっては一番の条件だったんです。ストーリーの中に出来るだけ人の心が映し出されているように演出したかった」。

だからこそ、撮影場所には気を使ったという。
「とにかく景色のきれいな場所とか、わざわざオーストラリアまで行って撮ったのが『ACRI』でした。『河童』も同様で、それなりの映像になってると思います。ただ撮影はとにかく水との格闘でした。もう二度と水の映画は撮りたくないって思った(笑)。カメラは壊れる、機材はおかしくなる。『河童』なんて泥の中ですからね。『ACRI』に関しても、毎日海に出る度に色が違うんですよ。だから色を合わせるのが本当に難しくて。もうワンシーンワンシーン船を動かしながら撮ってました。もちろん日が落ちてきますから、それでも海の色がどんどん変わっちゃう時間と日差しと海との格闘でした。格闘しちゃいけない相手なのに(笑)。でも『河童』も『ACRI』も天気には恵まれたんですよ。雨が欲しいときに降ってくれたりして。ドキドキした局面はたくさんありましたけど。だけどすごくラッキーな撮影でした」。

「米米CLUB」としての活動も再開し、これから再び波に乗ろうとしている石井竜也。また監督という肩書きを背負うことはあるだろうか?
「映画を作るにはものすごい覚悟がいるんですよ。そういう覚悟がない生半可な気持ちじゃ出来ないし、ソロ活動をしていましたから、その先がきちんと見えないと次には移れないとも思ってました。映画を撮りたいのは山々だし、アイディアもいっぱいあるけど、なかなかやるわけにはいかないという状況だったんです。いまは落ち着いて、自分の中でも一段落ついた部分もいっぱいあるので、これからまた監督業をやってみたいという気持ちはすっごくあります。ただ、この10年の中でも何回かはあったんですよ。でも自分が納得のいく脚本ではなかったし、やりたいなって心底思えなかったからやらなかったんです。やっぱり自分の中から出てきたストーリーラインにこだわりたい。やっぱり既成のものは、“ほかの誰かが考えたものじゃん”って思っちゃうんですよね。だからやっぱり、原作にはこだわりたい。あとは、出てくださる方とスタッフに敬意を払いながら一番良い方法論で撮り続けられれば嬉しいと思いますけどね(笑)」。

『河童』デジタルリマスター
『ACRI』デジタルリマスター
発売中
発売:ポニーキャニオン
価格:各3,990円(税込)

© CAPPA DOCIA / SONY MUSIC ENTERTAINMENT 1994
© 1996 Sony Music Entertainment・Pony Canyon・Cappadocia

《photo:Shinya Namiki》
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