森山良子が『明日への遺言』主題歌「ねがい」に込めた思い

最新ニュース

『明日への遺言』 森山良子
  • 『明日への遺言』 森山良子
  • 『明日への遺言』 森山良子
  • 森山良子 「ねがい」(発売元:Dreamusic/販売元:キングレコード)
曲の世界をモチーフにして同名映画化された「涙そうそう」や長野オリンピック開会式のテーマソング「明日こそ、子供たちが…」など、メッセージ性の強い歌詞と豊かな歌唱力で多くの人の心に残る名曲を世に送り出してきた森山良子。彼女が、初めて映画の主題歌として書き下ろしたのが3月1日(土)より公開される『明日への遺言』で流れる「ねがい」である。映画は、実在の元東海軍司令官・岡田資中将の法廷での戦いと、彼を見守る家族の姿を描く。本作から何を感じ、どのようにして「ねがい」は生まれたのか? 森山さんに話を聞いた。

小泉堯史監督からのオファーを受け、脚本を読んで思わず涙したと言う。しかし、その感動を曲として表現するのは決して簡単な作業ではなかった。
「監督からは、最初の打ち合わせの段階で『お任せします』というお言葉をいただいていました。でも、脚本を読んでみたら、最初は曲を作ろうにも言葉が出てこなかったんです。映画が伝えているものに等しい言葉が見つからず、歌にしたら映画の足を引っ張ってしまうんじゃないかという気にさえなりました。その後ラッシュ(編集段階のフィルム)を観せていただき、映画で描かれている、岡田中将の家族への愛や部下に対する強い責任感が、彼が亡くなった後も遺志として受け継がれていくのを強く感じました。それから、この映画で最も印象に残ったのは、岡田中将と奥様が、言葉は一言も交わさないのだけれど見つめ合うだけで互いの思いをしっかりと理解している姿だったんです。その胸の内を想像するだけで涙が出てきました。女性として、奥様の立場から物語を観ることで、一番自分らしい曲が書けるんじゃないかと考えて曲を作っていきました」。

こうして完成した「ねがい」。この曲に込めた“願い”とは?
「まず平和への願いであり、家族の結び付き、奥様の“またあなたと一緒になりたい”という想い、それからこの地球という青い星がいつまでも輝いているように、という祈りも込めました。タイトルについては“希望”や“願”などいろいろ考えましたが、ひらがなで“ねがい”とした方が、それぞれの思いが通じていくかな、と思いました」。

森山さんは1948年生まれ。岡田中将が法廷で戦っていたのとほぼ同じ時期にこの世に生を受けた。「周囲から戦争の話を聞く機会は決して多くはなかった」と言う。
「おそらく、言葉で伝えるにはあまりにも非現実的で、“つらい”とか“恐ろしい”といった感情を超えていたのではないでしょうか。実際に親類の何人かは出征しているのですが、彼らが私に戦争について話してくれることはあまりなかったんです。普通の人々の感覚とは全く違う次元の体験であり、“言葉にしても決して理解されないだろう”という思いがあったのかもしれません。また、私たちが生まれたのは、やっと戦争が終わり、誰もが戦争のことを忘れたいと願っていた時期でもありました。その後の高度成長の中を、後ろをふり返ることなく、前だけを向いて生きてきたのかなと思います」。

だがいま森山さんは、あの時代を生きた人々の“思い”を語り継ぐことの重要性を強く感じている。
「いまの時代には人の生死に関わるような厳しい状況が全くと言っていいほどないですよね。それはありがたいことではありますが、生きていく上で時に必要な我慢であったり、高い志を持つ、地に足をつけなくてはならない状況に直面する機会があまりにも少ないということでもあります。生まれも育ちも違うあの時代の人々と、現代の人々を比べることはできません。でも、こうした映画を通していろいろな思いを育んでもらえたら、と思います。この映画は、戦争の現実をまざまざと伝えるだけでなく、私たちがこれから何十年、何百年と受け継いでいかなくてはならない思いや希望が描かれていると思います。ぜひ若い人たちに観てもらって、心を開いて感じてもらえたら嬉しいです」。

『明日への遺言』は3月1日(土)より渋谷東急ほか全国松竹・東急系にて公開。

『明日への遺言』公式サイト
http://www.ashitahenoyuigon.jp

森山良子「ねがい」
発売元:Dreamusic
販売元:キングレコード
価格:1,000円(税込)
発売中
《text:cinemacafe.net》

関連ニュース

今、あなたにオススメ
Recommended by

特集

page top