浅野忠信がとてもいい。ひたすらいい。こんなこと、いまさらという感じだけれど、あえて念押ししたくなる、そんな映画が『モンゴル』です。今年のアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた作品であり、かなりメディアでも取り上げられたので、みなさまよくご存知かと思いますが、内容的にはチンギス・ハーンの物語ということで、新鮮さを感じない人もいるかもしれません。でも、この作品は、過酷な運命に翻弄されながらも、テムジンという青年がいかにしてチンギス・ハーンと成りえたかという部分にじっくりと焦点をあてているので、いままでのチンギス・ハーンものとはひと味違った楽しみが味わえるはずです。特に、テムジンが愛する人を一途に想い続ける“愛”の部分は女性必見。他の部族に略奪され、他の男性の子を身ごもった妻を見つけ出し、お腹の中の子供も当然のように自らの子として慈しむ…。「こんな風に愛してくれる人がいたら、“私だけのヒーロー”って感じだよな」とうっとりしてしまうはずです。この役にはまっているというだけで、浅野忠信の株はさらに上昇。草原に吹く風にサラサラとなびく長髪も素敵でした。この映画を観ながら、浅野忠信の魅力について考えてみたのですが、彼の活動ぶり、プライベート(わかっている範囲で)を調べていたらあることに気づきました。それは、ハリウッドで、いえ世界で一、二を争うモテ男、ジョニー・デップに通じるものがあるということ。ちょっと陰りのある風貌。そこはかとなく漂う色気。若い頃は、美男子なのにわざときちゃない役をやっていたふしがある。クセのある作品、クセのある監督を好む。監督業にも進出(2004年の『トーリ』)。妻はロリータ系歌手&女優。自らもバンドを結成するほどの音楽好き。ネイティブアメリカンの血が流れている(祖父)など、ちょっと気づいただけでも共通点がこんなに。やはり、いい男は自然と似てきちゃうんでしょうか。こういった要素は、真似しようとして真似できるものではありませんが、子煩悩とか、家庭を大切にするといった部分は、心がけ次第でどうにかなるもの。あとは、いらんことを喋りまくらず、やや寡黙であるとか。でも、ユーモアのセンスはあって、硬軟のバランスは絶妙。案外いないんだな、こういう男性。まあ、だからこそありがたがられてモテるのでしょうけれどね。
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