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「不合理な手作業が楽しくて、面白いんですよ」三池監督流宇宙創生『神様のパズル』

人間が宇宙をつくることはできるのか──? 超天才少女と落ちこぼれのロッカー少年が人類最大の謎である宇宙創生に挑むキュートなSF大作『神様のパズル』。機本伸司の同名小説を原作に、市原隼人、谷村美月を主演に迎えた本作。メガホンを握ったのは、『クローズ ZERO』、『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』の三池崇史監督だ。

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『神様のパズル』 三池崇史 photo:Yoshio Kumagai
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人間が宇宙をつくることはできるのか──? 超天才少女と落ちこぼれのロッカー少年が人類最大の謎である宇宙創生に挑むキュートなSF大作『神様のパズル』。機本伸司の同名小説を原作に、市原隼人、谷村美月を主演に迎えた本作。メガホンを握ったのは、『クローズ ZERO』、『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』の三池崇史監督だ。

大学生が主人公の学園ラブコメとも言える本作。監督のこれまでの作品群からは、ちょっと想像しがたいのだが…。
「(笑)。そう? 監督をやるのに、作品の内容はあまり関係ないですよ。確かに描写は違うし、音楽の入り方や主人公の年齢は変わるけど、そういう装飾品を全部はずしていくと、同じものがそこに在るからね。着せるものと飾りと流れてる音楽くらいの違いだと思うんです。だから、あまりやったことのないものとか、“え? 僕がこれ撮るの?”みたいな作品をやるのって楽しいじゃないですか!」

いきなり笑われてしまったが、それでもやはり、本作を三池監督が撮ったということに驚いてしまうのだ。
「この映画の最も純粋な部分は、“何で生まれたんだろう。人間って何だろう。小さなことで思い悩んで苦しんだ挙げ句に老いて死んでいく、その中でなぜ人は幸せになろうとするんだろう”…っていうところなんですよね。しかも大枠が、“そもそも宇宙って何だ?”って。何かを求めても、そこに答えはないんですよ。やはり偶然なのか? じゃあ人間は、何かをやるために生まれてきたわけじゃないのか? ってことなんですよ」。

「そういう意味では、ホラーとかヤクザものだって、ジャンルは違えど、中身は変わらない」と語る。だからこそ、メジャー作品だろうと「好き勝手にやってますよ」と言えてしまうのだろう。
「僕の楽なところは、プロデューサーも誰も立派な映画を期待していないところ(笑)。期待するならほかの監督に頼めば良いんだもん。(エグゼクティブ・プロデューサーの)角川(春樹)さんも、『本当に撮れるのか? 分かってんの、このシーン?』って言うから、『分かってますよ、何となく…』って。『何となく撮るのか!』って言いながら、ホントにやらせてくれました(笑)」。

「雨が降ってきたら雨のシーンにすればいい。夏の映画を撮ってても、雪が降ってきたら、『すげー!』って奇跡のシーンにすればいい(笑)。そういうアクシデント丸ごとが作品だと思ってる」と、あっけらかんと笑うが、本作ではそうしたチャレンジはあったのだろうか?
「現場が苦労したところって、観客にとっては、気にならずスルスル観られるところだと思うんです。苦労したんだなって見えたらエンターテイメントじゃないでしょ? こちらとしては、苦労したんだから、その跡が残っていてほしいものなんだけど(笑)。今回は、田んぼのシーンが結構大変でしたね。元は完全な荒れ地だった。でも田植えのシーンがあるということは、田んぼを作らないといかんのだな、と。田んぼ作り班の人たちが1週間くらい徹夜して作ったんですよ。物理学のディベートのシーンをどう撮るかっていう面白さもあるんだけど、そうじゃない、全く不合理な手作業みたいなところが楽しくて、面白いんですよね」。

では最後に、本作のテーマである“宇宙創生”について聞いてみたい。宇宙を人間の手で作ることは可能なのだろうか?
「宇宙そのものの概念をどう捉えるかって問題なんだけど、無意識のうちに作っていると思うんですよね。それを認識できないだけで。物理学にそれほど興味がなかったんですけど、子供のときから、妄想癖があるんですよ(笑)。子供の頃、野口英世って、伝記とかで読むでしょ? 何故かは分からないけど、僕は、彼のふさがれた手の中の空間に、宇宙があるってずっと信じてたんです。逆に言うと、あの手の中に無限の宇宙があるんだ、っていうのがスケール感なんですよ。多分無意識のうちに、人間は宇宙を作ったり壊したりしているんだと思いました。でも、銀河っていう意味での宇宙は、理論上では作れるはずですよ。エネルギーと偶然があればね。偶然って繰り返せば生まれるものだから、いずれは作れるんじゃないかな? パワーの問題はあるでしょうけど」。

きっと、三池監督の頭の中にも無限の宇宙が広がっているに違いない。そして、監督の映画の中にも。

《photo:Yoshio Kumagai》

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