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「早起きしなきゃならないんだよね…」リリー・フランキー『ぐるりのこと。』を語る

カナオと翔子の10年間を描いただけ、と言ってしまうと語弊があるだろう。二人の関係が壊れてしまうような衝撃的な出来事だって起こる。しかし、そうしたことをことさらにドラマティックに描写するのではなく、ごく客観的に、煽りもせず、貶めたりもせずに、ただ丁寧に繊細に綴っていく『ぐるりのこと。』。『ハッシュ!』で世界に認められた橋口亮輔監督の6年ぶりの新作で映画初主演を飾ったのが、『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』の原作者、リリー・フランキーだ。

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『ぐるりのこと。』リリー・フランキー photo:HIRAROCK
『ぐるりのこと。』リリー・フランキー photo:HIRAROCK
  • 『ぐるりのこと。』リリー・フランキー photo:HIRAROCK
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カナオと翔子の10年間を描いただけ、と言ってしまうと語弊があるだろう。二人の関係が壊れてしまうような衝撃的な出来事だって起こる。しかし、そうしたことをことさらにドラマティックに描写するのではなく、ごく客観的に、煽りもせず、貶めたりもせずに、ただ丁寧に繊細に綴っていく『ぐるりのこと。』『ハッシュ!』で世界に認められた橋口亮輔監督の6年ぶりの新作で映画初主演を飾ったのが、『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』の原作者、リリー・フランキーだ。

「結婚というものに対して、憧れはある」と自身の結婚観について話すリリーさん。
「でも20代のときは、自分が結婚するなんて考えなかった。働いてもなかったし、結婚するとか車の免許を取るっていうのは宇宙旅行に行くような(笑)もので、現実的じゃなかった。しかも30歳のときにお袋を田舎から呼んで、38歳くらいまで一緒に暮らしていたんですよ。すごい小さなアパートで病気の母親と一緒に住んでる男と結婚する女の人ってどうなのかな、って(笑)。だから40歳くらいからですかね? 結婚を考えてもいいような感じになったのって。でも年を取れば取るほど、ノリで結婚しようって言えなくなるでしょ(笑)? 結婚って相手の親も含めて全部幸せにしようとすることだし、年を取るとその責任も重いわけだから」。

リリーさん演じるカナオは翔子(木村多江)と結婚し、何があろうと共に生きている。まるで二人の間には“別れ”という言葉は存在しないかのように。
「でも普通の夫婦だよ。カナオだって翔子だって当たり前のことをしているんだけど、当たり前のことをやらないのが当たり前になってる風潮だからね。この二人が素敵な夫婦に見えるのは皮肉だと思うよ」。

本作では長回しのシーンに特徴がある。役者を本業としている人にとっても難しいだろうに、本業ではないリリーさんにとっては、なおさら大変だったのではないだろうか?
「逆に大変じゃなかったんですよ。そういうシーンは朝から晩までリハーサルやっていたから。アドリブもなかったしね。例えば、カナオと翔子が最初にセックスするのしないのって言ってるシーンは、僕と木村さんのファーストシーンだったんですけど、顔合わせだけしかしてない人とあんなの絶対出来るわけがないんですよ。それまで7日間くらい毎日、朝から晩までああいう会話していて、それが僕らの日常になっていたから出来たんですよね。映画では二人が30歳くらいのところから始まっているんですけど、そこにたどり着くまでの、大学生のときに出会ったシーンとかも稽古していたんです。だから僕らの中で、ずっと一緒にいたかのような、うその記憶が刷り込まれているんですよね」。

では、ほかに大変なことがあったかと聞けば、「それはない」とあっさり答える。
「木村さんがどんどん精神的に大変になっていくから、自分が大変だと思う部分なんてないんですよ。だから、何とか木村さんがやりやすいようにって。僕は撮影終わって家に帰ったら、『おでんくん』描いたりもしていたし(笑)。実はその頃、僕の好きな人が翔子のようにうつになって、夜中ずっと探して歩いたり、自分の生活と映画がリンクしていて、でも、その経験は映画の中で活かされましたね」。

これまでにも多方面で活躍してきたリリーさん。本作で“役者”として映画初主演を果たしたいま、今度は監督や脚本のような製作側に回るという野望もあるのでは?
「たくさんの人と仕事するの苦手なんですよね。そういう話はあったけど、具体的に考えたことはなかった。でも、橋口さんの現場を見せてもらったことは、何よりも良い学校に行かせてもらった感じです。監督をやるんだったら絶対自分で脚本を書くと思うし、脚本を書くんだったら監督も自分でやる。どちらかだけってのはないでしょうね。でも出演はしない(笑)」。

アイディアはいくつかあるそうで、「完全に男の人目線の映画になるだろうね」と言う。何やら具体的な返答だ。これは期待できるか?
「でも、映画作ってるときは早起きしないといけないんだよね。役者よりも監督の方がもっと早く来て、遅く帰らなきゃならないから、大変だな…」。

それは監督の一声でどうにかしていただきたいところだ。

《photo:Hirarock》

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