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「みんな不透明な愛国心を持っていたんだ」トミー・リー・ジョーンズ最新作を語る

個性派俳優としてはもちろん、缶コーヒーのCMで、“地球人を観察する宇宙からの調査員”としてもおなじみのトミー・リー・ジョーンズ。イラク戦争をテーマにした最新作『告発のとき』では本年度のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。突如失踪し、死体で発見された息子の事件の真相を追う父親を熱演した彼に話を聞いた。

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『告発のとき』トミー・リー・ジョーンズ -(C) Kaori Suzuki
『告発のとき』トミー・リー・ジョーンズ -(C) Kaori Suzuki
  • 『告発のとき』トミー・リー・ジョーンズ -(C) Kaori Suzuki
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  • 『告発のとき』トミー・リー・ジョーンズ -(C) Kaori Suzuki
個性派俳優としてはもちろん、缶コーヒーのCMで、“地球人を観察する宇宙からの調査員”としてもおなじみのトミー・リー・ジョーンズ。イラク戦争をテーマにした最新作『告発のとき』では本年度のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。突如失踪し、死体で発見された息子の事件の真相を追う父親を熱演した彼に話を聞いた。

本作への出演を決めた経緯についてこう語る。
「監督と脚本を担当したポール・ハギスからオファーがあったんだ。でも、そのとき僕はポールのことをよく知らなかったから、彼の『クラッシュ』を観たんだけど、とてもよく出来ていた。それから、この映画の脚本をじっくりと読んで出演を決めたよ。題材も魅力的だったし、僕はロケ地のニューメキシコがとても好きなんだ」。

物語は実際に起きた事件をモデルにしている。自身が演じたハンク像をどのように作り上げていったのだろうか?
「撮影の準備段階で、事件に関わった人たちに話を聞いたり、イラク戦争の帰還兵のドキュメンタリーを見たよ。それから、とにかく脚本を読み込んだ。ハンクの置かれた環境や周囲の人物との関係、ポールが何を求めているのかを考えながら演じたよ。彼は勤勉な退役軍人で愛国心が強い男なんだ。でも、その愛国心は不透明なものでもある。実際、国が彼や彼の息子をどこに送り出すのか? 何のために彼らはそこに送られないといけないのかなどについては深く考えていないところがあるし、真面目な性格の一方でヒスパニック系の人々に偏見を持っていたりする。こうした要素は、彼も危険人物になりうるということを示してるんだ」。

心を病んだ帰還兵と家族の深い悲しみ。本作が描き出すテーマについてトミーはこう語る。
「ここで描かれる“戦争が人々の心に何を与えるか”というテーマは、全てのアメリカ人に何らかの影響を与えると思う。しっかりとした基礎の部分がないままに戦争が始まり、まさにハンクと同じように“不透明な愛国心”をみんなが持ってしまったんだ。“サダム・フセインがたくさんの武器を持って大規模な破壊をしようとしていた”、“アルカイダが僕たちのオフィスを破壊しようとしていた”。だから、戦争をしないといけない、という感じでね。僕たちはそう信じることが許されたし、そう信じるようになっていたんだ。そんなくすんだ考えの結果をこの映画は描き出しているんだよ」。

シャーリーズ・セロンにスーザン・サランドンなど、共演者にも豪華なメンバーが顔を揃えているが、撮影の様子について聞いてみると…。
「シャーリーズ・セロンは一緒に仕事をするには最高の人だよ。いつもハッピーで、一緒にいてとても楽しい人なんだ。それにとても美しい(笑)。スーザン・サランドンとはいい友達だよ。彼女とは以前に一緒に仕事をしたことがある仲だから、気心が知れているしね。彼女もとても美しいよ。撮影を行ったアルバカーキはとても騒がしい街だった。そこから車で1時間ほどのところにタスーキーという小さな村があるんだけど、僕と妻が何度か使っていた、とても気に入った家があったんだ。その家から、毎日往復で2時間かけて、自分で車を運転して撮影現場に通ったんだ。撮影で大変だったのはそれぐらいかな」。

『逃亡者』('93)でアカデミー賞助演男優賞を受賞しているトミー。主演男優賞へのノミネートは今回が初めてだったが、意外にも「実は、ノミネートを知らされたときのことをよく覚えていないんだ」と言う。
「発表があったのは朝の早い時間帯でまだ寝ていたんだよ。妻が、僕を起こして知らせてくれたんだけど、僕はまたすぐに眠ってしまったんだ。だからその瞬間の心境は“眠い”だね(笑)。でもこうして認められるというのは嬉しいよ」。

最後にこれから映画を観る観客に向けてメッセージをもらった。
「徐々に登場人物たちとの共通点が見つかると思うから、できれば2回以上は観てほしいね。彼らが感じていることは、恐らくアメリカ人の多くが感じていることでもあるんだ。イラク戦争の問題について考えるきっかけになってくれれば嬉しいよ」。

《photo:Kaori Suzuki》

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