「映画と写真集にとって、重要な写真が撮れた」バーティンスキーが撮る中国の産業の姿

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『いま ここにある風景』 エドワード・バーティンスキー
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  • 『いま ここにある風景 エドワード・バーティンスキー:マニュファクチャード・ランドスケープ[CHINA]より』
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20年来、産業の発展によって極端な変化を強いられた風景を撮り続けているカナダ人写真家、エドワード・バーティンスキー。彼が、いままさに産業発展の著しい中国を訪れ、その発展が環境に巨大な影響を与えた姿を撮影する姿を記録したドキュメンタリーが『いま ここにある風景 エドワード・バーティンスキー:マニュファクチャード・ランドスケープ[CHINA]より』である。異様かつ残酷でありながらも、どこか美しく見る者を惹きつけるその写真について、そして本作についてバーティンスキー氏が語った。

「元々映画に興味がありました。写真だけでは伝わらないものがあるから」と本作を制作した理由について語る。
「写真では出来ないことが映画では出来る。それは、ストーリーや文脈を伝える、画面に映っているもの以上に伝えることができる部分なんです。映画は時間経過や物語性があるメディアですから。もちろん写真にも、映画には出来ない部分があります。写真は“静”のメディアで、非常に内省的だし、分析的、解剖的なものでもあると思うんです。その瞑想的な部分は映画にはない部分だと思っています。この2つのメディアが合わさることで、それぞれの役割を持って、いま私たちが暮らす世界のことについていろんなことを教えてくれると思うんです」。

誤解を恐れずに言えば、産業発展によって“壊された”景色を撮影し続けているバーティンスキー氏だが、本作で声高に環境問題を訴えているわけではない。
「普通のドキュメンタリーにはしたくなかったんです。自分の人生を語るような、BBC(イギリスのTV局。『ディープ・ブルー』『アース』を制作していることで有名)でよくあるような構成にもしたくなかった。ストーリーやアイディアを言葉ではなく映像で伝える、その映像を観ていろいろ考えさせるという構成にしたかったんです。監督のジェニファー(・バイチウォル)は、そこをすごく理解してくれて、言葉もそんなに使わず、むしろビジュアルを通してアイディア、ストーリーが伝わる作品になっています」。

中国での撮影は、やはり交渉に次ぐ交渉で難航したそうだ。撮影許可を得たにもかかわらず、当局に止められたこともあった。
「北京の北にある、北部最大の石炭集積場の撮影に行ったんです。撮影許可を取るのにも時間がかかったんですが、何よりその場所に行くのが、物理的に大変だったんです。撮影日は1日しかなかったのに、いきなり、その日は撮影してくれるな、と言われてしまって。理由は風でした。風が吹くと空気が黒くなって炭で汚れるからと近隣からクレームが出て、トラブルが起きるそうなんですね。その場面を撮られたくなかったということらしいんです。でも私はどうしても、この場所を撮りたかった。というのも、中国の石炭は200年間燃え続けることが出来るんです。もちろんそんなことをしたら、地球はかなりの被害を受け、大変なことになってしまいます。石油はすでに尽きかけていて、そこまで保たないんですよね。だからある意味、石炭の方が問題が大きいと思うんです。より量が多く、より長年の被害を生む可能性がある。「CHINA」という写真集にとっても、『いま ここにある風景』という映画にとっても、すごく重要な写真になりました」。

『いま ここにある風景』特集
http://www.cinemacafe.net/special/imakoko/index.html
《text:cinemacafe.net》

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