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『僕らのミライへ逆回転』に見るミシェル・ゴンドリー流、引きこもり解決術とは?

『TOKYO!<インテリア・デザイン>』の公開がまだ記憶に新しい“超個性派”監督のミシェル・ゴンドリーが、『カンフー・パンダ』や『テネイシャスD』、『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』への出演が相次ぐ“超個性派”スターのジャック・ブラックを主演に迎え、またまた新作を発表。それは、レトロ感とハンドメイド感あふれる人間ドラマ『僕らのミライへ逆回転』。どんなきっかけで生まれたのか、どんな想いを込めたのか、来日した監督に話を聞いた!

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『僕らのミライへ逆回転』ミシェル・ゴンドリー監督
『僕らのミライへ逆回転』ミシェル・ゴンドリー監督
  • 『僕らのミライへ逆回転』ミシェル・ゴンドリー監督
  • 『僕らのミライへ逆回転』 -(C) Newline Productions/Junkyard Productions
  • 『僕らのミライへ逆回転』ミシェル・ゴンドリー監督
『TOKYO!<インテリア・デザイン>』の公開がまだ記憶に新しい“超個性派”監督のミシェル・ゴンドリーが、『カンフー・パンダ』や『テネイシャスD』、『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』への出演が相次ぐ“超個性派”スターのジャック・ブラックを主演に迎え、またまた新作を発表。それは、レトロ感とハンドメイド感あふれる人間ドラマ『僕らのミライへ逆回転』。どんなきっかけで生まれたのか、どんな想いを込めたのか、来日した監督に話を聞いた!

「だってDVDの映像は磁気で消えないからね(笑)」

映画の舞台となるのは古びたレンタルビデオ店。ある日突然、身体が磁気化したジェリー(ジャック・ブラック)は、幼なじみのマイクが働くレンタルビデオ店のビデオの中身を全て消してしまう。困った2人は自作自演で映画を撮り直すことに…という奇想天外な設定が、なんともゴンドリーらしい。しかも、DVDやハードディスクが主流となった現代にVHSを引っ張り出してくるのも彼らしさ。その理由を「ノスタルジックにしたかったから」と語る。
「この映画に登場するレンタルショップは、アメリカでいうスリフトストアのような店なんだ。ガラクタを売ったりしているガレッジセールのようなものを想像してもらえればわかりやすいかな。あと、VHSにしたもう1つの理由は、DVDの映像は磁気では消えないからね(笑)」。

確かに(笑)。ミシェル・ゴンドリーの代表作と言えば、『エターナル・サンシャイン』『恋愛睡眠のすすめ』といった恋愛もの。だが、本作で描かれるのは古き良き時代のコミュニティにおける人間関係だ。アイディアのきっかけは、引きこもりがちな現代人の生活スタイルにあるのだという。
「いまは家から一歩も出ない生活を送っている人が増えてきていると思うんだ。もちろん、テレビやインターネットを見ながら食べたり飲んだりして過ごすのも楽しい。でも、それだけじゃ人との繋がりを持てない。だから、そういう人々をどうやって外に連れ出すか、どうやってコミュニティに参加させるかを考えた」。そして思い浮かんだアイディアが“映画作り”だったというわけだ。

『ゴーストバスターズ』『ロボコップ』『ライオン・キング』『2001年宇宙の旅』『メン・イン・ブラック』…ジェリーとマイクは次々と名作・旧作をリメイクしていくのだが、そこで活躍するのがゴンドリー作品でお馴染みの“ダンボール”。『恋愛睡眠のすすめ』に負けず劣らずのハンドメイド感がこの作品の見どころでもある。彼の手にかかると、ありふれた素材が独創的な物に変わる──CGでは決して作り出せないその世界観をジャック・ブラックも「彼の物作りには限界がない。ミシェルとの仕事は最高に楽しい体験だった」と絶賛。続けて、チープなようでいて実はもの凄く手が込んでいるのでは? と監督に探りを入れると、嬉しそうに苦労話を語り始める。
「ロボコップの特製ロボットスーツが一番大変だったね。あのスーツは意外と重いんだ。ジャック・ブラックはかなり苦労したと思うよ(笑)。あとは、冷蔵庫に猫が入っているシーンとか、ファンのようなものをVHSカメラに取り付けたものとか…そうそう、大きな車があっただろう? あれも作るのが大変だったんだ!」。ちなみに、監督もジャック・ブラックも『ロボコップ』が一番のお気に入りなのだそう。

「あの裁判沙汰を知っていたらカットなんてしなかったのに(笑)」

好きな映画を勝手にリメイクして、完成した作品をみんなで一緒に楽しむという本作のテーマは、ミシェル・ゴンドリーが以前から温めていたもの。それが、ジャック・ブラックという最強のコメディセンスの持ち主とタッグを組むことで実現したのだ。
「最初からジャックの名前があったわけじゃないけれど、(脚本の)最終稿はジャックを想定して書いていた。キャラクターや街の雰囲気全てがジャックに合うように作ったんだ」。その素晴らしい化学反応は映画を観れば明らか! 最後に、こんなおもしろエピソードを語ってくれた。

「この映画を撮影した街の市長も映画にちょっとだけ出ていたんだけど、撮影後に何かの違反をして裁判沙汰になったらしいんだ。で、運の悪いことに編集段階でちょうど市長の部分がカットになっちゃってさ、意地悪な新聞記者が“問題を起こしたからカットになった”なんて書くもんだから、僕が市長に呼ばれたんだよ! もしも知っていたらパブリシティになるからカットなんてしなかったのにって釈明したけどね(笑)」。

言い忘れたが、本作のレンタルビデオ店の店名であり、映画の原題でもある「Be Kind Rewind」とは、「(ビデオ返却の際に)巻き戻ししておいてもらえると助かります」という、80年代のアメリカでよく使われたキャッチフレーズ。いまでは忘れ去られているようなフレーズを堂々と使うあたりも、やはりゴンドリーらしい。

《text:Rie Shintani》

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