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「感情に流されない湯川が生身で感情的な一面を見せる」映画版「ガリレオ」監督が語る

国民的作家として多数のベストセラーを輩出する東野圭吾。その東野氏の人気小説「探偵ガリレオ」と「予知夢」は福山雅治、柴咲コウ出演でドラマ化され高視聴率を記録。その続編であり、シリーズ初の同名長編作が映画化。『容疑者Xの献身』が10月4日(土)の公開以来、ヒットを記録している。ドラマシリーズに続き、本作のメガホンを握ったのは西谷弘。ドラマから続く本シリーズに賭ける思い、そして本作について聞いてみた。

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『容疑者Xの献身』 西谷弘監督
『容疑者Xの献身』 西谷弘監督
  • 『容疑者Xの献身』 西谷弘監督
  • 『容疑者Xの献身』 -(C) 2008 フジテレビジョン/アミューズ/S・D・P/FNS27社
  • 『容疑者Xの献身』 西谷弘監督
国民的作家として多数のベストセラーを輩出する東野圭吾。その東野氏の人気小説「探偵ガリレオ」と「予知夢」は福山雅治、柴咲コウ出演でドラマ化され高視聴率を記録。その続編であり、シリーズ初の同名長編作が映画化。『容疑者Xの献身』が10月4日(土)の公開以来、ヒットを記録している。ドラマシリーズに続き、本作のメガホンを握ったのは西谷弘。ドラマから続く本シリーズに賭ける思い、そして本作について聞いてみた。

──ドラマと映画ではジャンルが全く違いますが、それは原作の世界を踏まえてのことだったのでしょうか?

それも一つあります。原作そのもののベクトルが全然違うものでしたから。「探偵ガリレオ」と「予知夢」は物理学を使って科学犯罪を暴いていくという、映像的にも見栄えする作品でした。月9(月曜日夜9時)という子供までも観る放送枠を意識して、湯川(福山雅治)の決めポーズを作ったり、トリッキーな演出でエンターテイメント色を強くして、ポップに仕立てました。一方、映画原作の「容疑者Xの献身」(以下「X」)は、物理学というより論理的思考。そして、濃密な人間ドラマに重点が置かれていたので、原作の持ち味を大事にしました。もう一つ、これまでの“ヒットドラマの映画化=ドラマのスペシャル版”という図式に捕われずに、『X』を発展させることが出来ればな、と思っていました。観客にも作り手にも、作品への可能性を広げられれば、と。

──ドラマと映画の違いがあるとは言え、同じキャラクターでジャンルが違うところに戸惑いや苦労などがあったのではないですか?

むしろ、TVで生まれたキャラクターたちを、より立体的に、奥行きをもって描けるなと思いました。TVでの湯川は感情に流されない合理主義者だけど、映画では感情をコントロール出来なくなる、生身の湯川。要は、TVで見せてきた、傷一つなさそうな美しい湯川の姿にミクロに寄ることで見えてくる生傷みたいなものを描きたい、と。内海(柴咲コウ)に関しても、TVでは“事件は湯川の研究室で解決される”と、舞台の重きをキャンパスに置き、警察側の動きはあえて多くを見せなかった。でも映画においては、石神(堤真一)の天才ぶりを発揮させるためにも、警察の動向を描くことが大事になってくる。それによって、TVでは見られなかった、男社会の中で揉まれ、成長していく内海の生きざまを描くことが出来ました。

──その石神は湯川に匹敵する天才というキャラクターですが、外見や性格的な部分は湯川とは対照的ですよね。原作ファンには、石神を堤さんが演じるのはかっこよすぎるという話もありますが。

確かに、キャスティング時にもそういう意見はありました。一方で、僕はクライマックスでの湯川との2ショットは、大人の男の色気が漂う美しい画として撮りたかった。そういう意味では堤さんはピッタリですからね。でも、“かっこよすぎないか”という先入観は、堤さんの芝居が全て打ち消してくれました。本当に奥の深い役者さんです。だから原作ファンの方には、堤版石神をぜひ、見ていただきたい。見たら逆に、石神役は堤さん以外に“あり得ない”と思ってもらえるはずです。

──ドラマから映画へと進化した“ガリレオ”シリーズですが、このシリーズを通して監督がこだわった点はどんなところですか?

TVドラマにおいては、単なる“空想科学ドラマ”ではないということ。犯人像やその動機などには全く興味がないというのが湯川のスタンスですが、科学を使って謎を解き明かし、見えてくるものはやはり人の心だということ。たとえ、それが狂気だとしても。そして大切なのは、それに向き合う湯川と内海が打ち出す姿勢。映画は、科学ではなく“愛”と真っ向から向き合い、挑むシリーズの集大成だと思います。

「原作に忠実に」とはいえ、やはり映画ならではのシーンもある。そのシーンこそ友人でありライバルでもある天才同士の対決とも言える重要なシーンとなっている。加えて湯川が初めて見せる躊躇、逡巡の表情、内海が湯川を気遣う表情…。TVドラマのテイストも残しつつ、新たなガリレオワールドを堪能させてくれる本作。西谷監督の思いは我々観客にもしっかり届くだろう。
《シネマカフェ編集部》

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