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【TIFFレポート27】80年代バンドブーム立役者の生き様がここに『40歳問題』

1980年代のバンドブームを覚えているだろうか? リアルに懐かしいと思う人もいれば、「そんなのあったなぁ」くらいにしか思い出せない人もいるだろう。いまの10代の若者にとっては、きっと「それ何?」である。それこそ、星の数ほどのバンドがデビューしては消えていった、あのブームから20年──。かつてのバンドブームを支えたミュージシャンたちも40歳を迎えている。体力の衰えや家族の問題などを抱え、それでも音楽と向き合い続けている彼らの姿を映し出したのが『40歳問題』である。

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『40歳問題』ティーチインにて(左から)浜崎貴司、大沢伸一、桜井秀俊、中江裕司監督
『40歳問題』ティーチインにて(左から)浜崎貴司、大沢伸一、桜井秀俊、中江裕司監督
  • 『40歳問題』ティーチインにて(左から)浜崎貴司、大沢伸一、桜井秀俊、中江裕司監督
  • 『40歳問題』舞台挨拶にて浜崎貴司(左)、大沢伸一
  • 『40歳問題』舞台挨拶にて桜井秀俊(左)、中江裕司監督
1980年代のバンドブームを覚えているだろうか? リアルに懐かしいと思う人もいれば、「そんなのあったなぁ」くらいにしか思い出せない人もいるだろう。いまの10代の若者にとっては、きっと「それ何?」である。それこそ、星の数ほどのバンドがデビューしては消えていった、あのブームから20年──。かつてのバンドブームを支えたミュージシャンたちも40歳を迎えている。体力の衰えや家族の問題などを抱え、それでも音楽と向き合い続けている彼らの姿を映し出したのが『40歳問題』である。

本作は、フライングキッズの浜崎貴司、MONDO GROSSOの大沢伸一、真心ブラザーズの桜井秀俊の3人が“テーマソングを作る”という無理難題を押しつけられ、渾身の一作「LOST CONTROL」を作り、一夜限りのライヴをするまでのほぼ1年間を追っている。10月23日(木)、シネマ・ヴァイブレーション部門にて公式上映され、上映前の舞台挨拶と上映後のティーチインに、浜崎さん、大沢さん、桜井さんと、中江裕司監督が登場した。

舞台挨拶では、4人それぞれが自身の年齢と共に挨拶。「浜崎貴司、43歳でございまして。この映画は、去年の秋くらいから、今年の秋くらいまで、ほぼ1年かけて撮影しましたけども、想像以上にしんどい時間でございました。曲を作っていくステップを踏んでいくのが、こんなにも大変だったことはなかったです」。

「大沢伸一、41歳です。まだこの映画を肯定も否定もできておらず、出演したことを半ば後悔しつつ…、これ笑い事じゃないです。やはり自分の人生の一部分でも、切り取って見せられるというのは、普通に生活しているとないことなので、貴重な体験だったことには違いないんですが、ちょっとまだ受け入れられてない状態です」。

「桜井秀俊、40歳です。(映画の)あまりの生々しさに、まだ感想を持つ余裕がない状態です。しかも僕の場合、自分の家に嫁さんと子供が3人いるんですが、遺憾なくカメラが入り、普通に生きているさまをガンガン撮られて、それがバンバン出てくるので、みなさんには、一言『俺ん家へようこそ』と言わせてください(笑)」。

「監督の中江裕司です。47歳です。悪いのは全て私です(笑)。僕自身は監督という立場で、この3人とはちょっと違うんですけれども、一緒に仕事をさせていただけたのは、非常に刺激的でして、僕としては、この3人のことをこう受け取ったということを観ていただければなと思います」。

さて、この舞台挨拶を受けての鑑賞である。上映後のティーチインでは、観客から「ドキドキした」、「スリリングだった」、「拷問のようだった」と様々な感想が出た。それは、本作に登場する3名のやり取りや曲が出来上がっていくまでの過程を観てのことだが、当然のごとく「なぜ、この3人だったのか」という質問が出た。監督は、「ほかにも候補は挙がっていたんです。略歴を読ませていただいたり、映像を見せていただいたりしたんですが、最終的には作られた音楽を聴いて、ピンとくるかこないかだったんですよね。あとは、なるべく立ち位置の違う3名を選ぼうとは思ってました。せっかく映画を作るんだから、この映画がなければ組まないであろう3人でやってほしいと思ってました」と、その理由を話した。

出演した3人のミュージシャンに対して、「このセッションを経て、何か得たものがあるのか」という質問に対する三者三様の答えが、本作を如実に物語っているだろう。
「早速、桜井さんと一緒にコンサートをやりました。それから、大沢さんのトラックダウンのやり口を後ろでパクリました(笑)。こんなやり方があるのかと感心して観察させていただきました。やっぱり何か通過しているものはありますから、きっと何か起きるのではないかなと思っている段階です」(浜崎さん)。

「みなさんがご飯を食べているのと同じで、僕らは日々何かを感じながら音楽を発しているので、僕らの無意識の中で多分出てきていることはあると思います。でもそれが何かと聞かれると、まだ答えられないですね」(大沢さん)。

「浜崎さんには、歌を歌うということについて考えさせられました。自分のバンドではどちらかというとギターを弾いたりすることが多いんですけれども、歌モノが大好きでやっているということを、今回改めて認識したので、自分でも積極的に歌っていこうという決意が生まれました。大沢さんからはレコーディングや楽曲制作の現場での作品に対する、命賭けてる丸出しの姿勢を学びました」(桜井さん)。

“アラフォー”男子だって、女子並みに身体を張ってがんばっている。バンドブームを経験した人も未体験の人も、ぜひ彼らの生きざまに触れてみてほしい。『40歳問題』は12月、シアターN渋谷ほか全国にて順次公開される。

第21回東京国際映画祭特集
http://www.cinemacafe.net/fes/tiff2008/
《シネマカフェ編集部》

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