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【TIFFレポート42】4人の女性に振り回される中年男の珍騒動『8月のランチ』

老母と一緒に暮らす中年男が、アパートの管理人の母を預かったことから巻き起こる珍騒動を描いた『8月のランチ』。コンペティション部門にノミネートされている本作の上映が東京国際映画祭の最終日、10月26日(日)に行われた。チケットが完売するほどの人気だった本作の監督、ジャンニ・ディ・グレゴリオが上映後のティーチインに登場し、笑いの絶えない楽しいやりとりが行われた。

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『8月のランチ』ティーチインにてジャンニ・ディ・グレゴリオ監督
『8月のランチ』ティーチインにてジャンニ・ディ・グレゴリオ監督
  • 『8月のランチ』ティーチインにてジャンニ・ディ・グレゴリオ監督
老母と一緒に暮らす中年男が、アパートの管理人の母を預かったことから巻き起こる珍騒動を描いた『8月のランチ』。コンペティション部門にノミネートされている本作の上映が東京国際映画祭の最終日、10月26日(日)に行われた。チケットが完売するほどの人気だった本作の監督、ジャンニ・ディ・グレゴリオが上映後のティーチインに登場し、笑いの絶えない楽しいやりとりが行われた。

主人公のジャンニは自分の母にアパートの管理人の母と叔母、挙げ句の果てには友人の母まで預かる羽目に陥ってしまう。その4人の老女が何とも個性的でかわいらしいおばあちゃんたちなのだが、彼女たちのキャラクターには特にモデルはおらず、むしろ演じている役者のキャラクターが活かされていると言う。「4人のうち、ひとりは90歳で私の叔母さんです。ジャンニの母親役の女性は93歳で、私の家族の友人。そして残りの2人はローマの老人ホームに告知を出してオーディションをしたんです(笑)」と、プロの女優は一人も起用していないことを明かした。また、「撮影に入ってすぐ、彼女たちに演出を付けるのは不可能であることに気がつきました。もう手がつけられないんです(笑)。そうなると、脚本通りにセリフを言ってもらうことも難しい。なので、彼女たちが好きなように動けるようにして、好きなようにしゃべってもらうようにしました。カメラの動く位置や方向を事前に決めたとしても、必ずと言っていいほど反対に動くんですから(笑)」。こう言いながらも楽しそうな表情を崩さない監督。きっと文句を言いつつも、楽しい現場だったのだろう。

それは監督の次の言葉に表れているような気がする。「彼女たちと仕事をして、人生について大きな教えを得た気分です。実際、私も母と10年間共に暮らしました。独占欲が強い母親でしたが、年配の人の強さ、孤独などを感じ、それを映画にしたいと思ったんです。実際、私のところにもアパートの管理人が来たんですよ。アパートの家賃を下げるから母を預かってくれ、と。そのときはお断りしてしまったんですが、もし引き受けていたらどうなっていたんだろうと考えた、その答えがこの映画なのです」。

この4人の女性の撮影前と撮影後の変化についての質問には、「まず、撮影前には彼女たちを会わせないように気を付けました。撮影当日に4人を引き合わせたのですが、そのときはどうも、お互いにあまり良い印象を持っていなかったようです(笑)。ですが、撮影が進むうちに打ち解け、仲良くなっていきましたよ。もちろん、僕とも仲良くなりました。いまでは新しいお母さんが4人増えたような気分です(笑)。いまでも毎晩のように電話が来るんですよ。『あまり飲み過ぎちゃダメよ』とか『一体、夜は何をしているの?』とかね(笑)」。

微笑ましいエピソードを数多く話してくれた監督のティーチインに観客も大いに満足したようだった。

第21回東京国際映画祭特集
http://www.cinemacafe.net/fes/tiff2008/
《シネマカフェ編集部》

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