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【TIFFレポート45】サクラ グランプリは『トルパン』! 

ついに閉幕を迎えた第21回東京国際映画祭。渋谷のBunkamuraでクロージングセレモニーが執り行われ、セルゲイ・ドヴォルツェヴォイ監督によるカザフスタンを舞台にした『トルパン』が最高賞の「東京 サクラ グランプリ」と最優秀監督賞の二冠に輝いた。日本から出品されていた作品では、妻夫木聡主演の『ブタがいた教室』が観客賞とTOYOTA Earth Grand Prix審査委員賞を獲得。また、先日、急逝した市川準監督の遺作となった『buy a suit』に「日本映画・ある視点」部門作品賞が贈られた。

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第21回東京国際映画祭受賞者のみなさん
第21回東京国際映画祭受賞者のみなさん
  • 第21回東京国際映画祭受賞者のみなさん
  • 東京 サクラ グランプリを受賞した『トルパン』の(左から)セルゲイ・ドヴォルツェヴォイ監督、アスハット・クチンチレコフ、サマル・エスリャーモヴァ
  • 「アジアの風」部門、最優秀アジア映画賞を受賞した『私のマーロンとブランド』のフセイン・カラベイ監督
ついに閉幕を迎えた第21回東京国際映画祭。渋谷のBunkamuraでクロージングセレモニーが執り行われ、セルゲイ・ドヴォルツェヴォイ監督によるカザフスタンを舞台にした『トルパン』が最高賞の「東京 サクラ グランプリ」と最優秀監督賞の二冠に輝いた。日本から出品されていた作品では、妻夫木聡主演の『ブタがいた教室』が観客賞とTOYOTA Earth Grand Prix審査委員賞を獲得。また、先日、急逝した市川準監督の遺作となった『buy a suit』に「日本映画・ある視点」部門作品賞が贈られた。

先日発表された“黒澤明賞”の授与から始まったクロージングセレモニー。故・黒澤監督の娘である黒澤和子さんからトロフィーを受け取り、受賞者のニキータ・セルゲイビッチ・ミハルコフ監督とチェン・カイコー監督は嬉しそうな表情を見せた。

続いて発表された「日本映画・ある視点」部門では『大阪ハムレット』に出演する岸部一徳に特別賞が贈られた。残念ながら岸部さんはセレモニーには欠席したが、代わりに登壇した光石富士朗監督は、岸部さんからの「現在、長崎で撮影中でそちらには行けませんが、非常に嬉しいです」というメッセージを代読。さらに監督は、役者として時代の空気を感じるために、いまだに撮影現場に電車と徒歩でやってくるという岸部さんの人柄を紹介してくれた。

同部門作品賞に輝いた『buy a suit』への賞の授与には、故・市川監督の妻の幸子さんが登壇。「市川が『忘れかけていたものに出会いたい』と言って作り上げた作品です。遅ればせながら支えてくださったみなさんに、恩返しが出来たと喜んでいることと思います」と目を潤ませた。

「アジアの風」部門で最優秀アジア映画賞を手にしたのはトルコの新鋭、フセイン・カラベイ監督の『マーロンとブランド』。監督は「この部門にノミネートされただけで、すでに賞をいただいた気持ちでしたが、こうして最優秀賞をいただけるとは…。おかげでこの作品をトルコで公開することが出来そうです」と感激した様子で語った。

続いては今年から創設された「TOYOTA Earth Grand Prix」。当初はグランプリのみの予定だったが、候補作のレベルの高さを反映して急遽、特別賞と審査委員賞が新設された。特別賞に輝いたのは『ミーアキャット』。そして『ブタがいた教室』が審査委員賞に選ばれた。そしてグランプリは、スペインからやって来た『フェデリコ親父とサクラの木』に贈られた。ホセ・アントニオ・キロス監督は受賞スピーチを全て日本語で敢行。「東京が大好きです! スペインに帰りたくありません」と笑顔で語った。

コンペティション作品を対象にした「観客賞」に選出されたのは、TOYOTA Earth Grand Prix審査委員賞に続いて『ブタがいた教室』。ひとつ前の受賞スピーチで「今夜は男泣きに泣きます」と語った前田哲監督だったが、今度は妻夫木さんから託された手紙を紹介。「子供たちに拍手!」という言葉に会場からは拍手がわき起こった。

そしていよいよ、コンペティションの各賞がジョン・ヴォイト審査委員長より発表。『がんばればいいこともある』は芸術貢献賞と最優秀女優賞(フェリシテ・ウワシー)に贈られ、『パブリック・エナミー・ナンバー1 (Part1&2)』のヴァンサン・カッセルが最優秀男優賞を獲得した。審査員特別賞はイエジー・スコリモフスキー監督作『アンナと過ごした4日間』が受賞した。

そして、東京 サクラ グランプリを手にしたのは、「満場一致」(ヴォイト審査委員長)で監督賞との二冠となったセルゲイ・ドヴォルツェヴォイ監督による『トルパン』。監督は、主演のアスハット・クチンチレコフ、サマル・エスリャーモヴァと共に壇上に上がると「大変な驚きです! ありがとうございます。すでに監督賞をいただいていたので、もう出番はないと思ってました。アスハットなんかすでにネクタイを外してました(笑)。撮影では俳優たちには『不可能を可能にできる!』と言い続けていました。実は、撮影直後に事故で命を失った俳優がひとりいます。この賞は彼に捧げます! アリガトウゴザイマス!」と興奮した面持ちでまくし立て、会場からは惜しみない拍手が贈られた。

こうして第21回東京国際映画祭は幕を閉じた。

受賞結果

【コンペティション部門】
東京 サクラ グランプリ『トルパン』
審査員特別賞『アンナと過ごした4日間』
最優秀監督賞:セルゲイ・ドヴォルツェヴォイ(『トルパン』
最優秀男優賞:ヴァンサン・カッセル『パブリック・エナミー・ナンバー1 (Part1&2)』
最優秀女優賞:フェリシテ・ウワシー(『がんばればいいこともある』
最優秀芸術貢献賞『がんばればいいこともある』
観客賞『ブタがいた教室』

【日本映画・ある視点】
作品賞『buy a suit』
特別賞:岸辺一徳(『大阪ハムレット』

【アジアの風】
アジア最優秀映画賞『マーロンとブランド』

【TOYOTA Earth Grand Prix】
・グランプリ:『フェデリコ親父とサクラの木』
・特別賞:『ミーアキャット』
・審査委員賞:『ブタがいた教室』

【黒澤明賞】
ニキータ・セルゲイビッチ・ミハルコフ
チェン・カイコー

第21回東京国際映画祭特集
http://www.cinemacafe.net/fes/tiff2008/
《シネマカフェ編集部》

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