ジュリアン・ムーア「こんなに融通が利く仕事ないって自分に言い聞かせてるわ(笑)」

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『ブラインドネス』 ジュリアン・ムーア photo:Yoshio Kumagai
  • 『ブラインドネス』 ジュリアン・ムーア photo:Yoshio Kumagai
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突然の伝染病の蔓延で次々と人々が視力を失っていく世界。秩序もモラルも失われ、狂気と暴力が錯綜する社会にたった一人だけ“見えている”女性がいた——。『シティ・オブ・ゴッド』の鬼才フェルナンド・メイレレスがノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴの傑作小説を映画化した『ブラインドネス』。本作で、“光”を失っていないただ一人の女性を演じたジュリアン・ムーアに話を聞いた。

「演じる上で何より大切にしたのは、先を急がないこと」

ジュリアンは、自らが演じた“見えている女”(※劇中で登場人物の誰一人として名前が明かされることはない)が劇中で遂げる大きな“変化”についてこう語る。
「最初のうち、彼女は自分と夫のことしか考えていませんでした。でも、喧騒と狂乱の中で人が次々と死んでいくのを目の当たりにして『どうしてこういう事態が引き起こされたのか? 自分に何が出来たのか?』と自問し、このまま静観しているわけにはいかないと考えるようになります。それから後の、身を守るためには他人の命を脅かすことさえも厭わない彼女の行動は英雄的であり、同時に彼女自身がその行動の責任を背負わねばならなくなったのです。彼女のやったことが善なのか悪なのかをはっきりと分けることは出来ませんが、非常に人間的だと思いました。私がこの役を演じる上で大切にしたのは、先を急がないこと。まずアクションがあり、それに伴って彼女は内面的に成長を遂げていくのだと思いましたので、ゆっくりと彼女の反応をなぞるように演じることを心がけました」。

メイレレス監督とは初めての仕事となったが、ジュリアンは監督を「リアリティの追求者」と絶賛する。
「彼と一緒に仕事をしたことがある女優さんから、撮影前にこう忠告されたんです。『気をつけて。いつでもカメラは回ってるわよ』って(笑)。実際その通りでした。リハーサルはもちろん、撮影の合間におしゃべりをしてるときも、油断していると彼は撮ってるんです! 『シティ・オブ・ゴッド』を観れば分かりますが、彼が求めているのは観る人がショックを受けるほどのリアリティなんです。でも、彼自身はすごく静かな人間でした。静かに、でもしっかりと自分のほしいものを伝えてくるタイプの人間です」。

「物語に入り込み、監督が作り上げる世界の一部になりたい」

映画への出演を決めるポイントについて「語られる物語の中に入りたい、作り上げられる世界の一部になりたいという気持ちでいるので、そういう視点を持った監督、脚本に惹かれる」と語るジュリアン。40代半ばを超えてなお、ハリウッドの第一線で活躍し、進化し続けるその秘訣はどこにあるのだろうか?
「いまのハリウッドでは面白い映画を見つけるのは非常に難しいことですし、そもそも女性の役が少ないんです。才能のある女優はたくさんいますから、正直なところ『この役はこの人が演じても良いし、あの人でも良い』という状況です。ですので、何よりはっきり言えるのは、私がラッキーだったということ(笑)。ただ、これまでの仕事に関して、私は全ての役を楽しんで演じてきました。これは、実はすごく珍しいことなのかもしれません。公私のバランスを大変に感じるときもありますが、そういうときは自分にこう言い聞かせてるんです。『何をバカなこと考えてるの? こんなに融通が利く仕事なんてないのよ。仕事場に子供を連れてくるとことも出来るし、休みだってまとめて取れるでしょ!』って(笑)」。

インタビューを通じ、その知的な語り口と共に印象的だったのが彼女のまっすぐで力強いまなざし。その視線の先にどんな未来を捉えているのか——? 新たな作品を携えて日本に来てくれるのを待ちたい。

《photo:Yoshio Kumagai》

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