一時は出家も考えた? 内田有紀「自分を変えようと思ったときから変えられる」

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『禅 ZEN』 内田有紀 photo:Yoshio Kumagai
  • 『禅 ZEN』 内田有紀 photo:Yoshio Kumagai
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  • 『禅 ZEN』 内田有紀 photo:Yoshio Kumagai
  • 力強い笑顔を見せてくれた photo:Yoshio Kumagai
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  • 「おりんは観客がこの映画に入りやすくするためのポジションを担っている」と語る photo:Yoshio Kumagai
  • 作品についてだけでなく、役へのアプローチの仕方の変化などについても語ってくれた photo:Yoshio Kumagai
  • 紅一点の現場で楽しみながら撮影に臨んだ様子 photo:Yoshio Kumagai
鎌倉時代、余念を交えず、ただ座禅する只管打坐(しかんたざ)の教えを広めた日本曹洞宗の開祖・道元禅師の生涯を描いた伝記映画『禅 ZEN』。道元に帰依し、悲惨な境遇を脱する女性・おりんを演じた内田有紀は「おりんは観客の方々がこの映画の世界に入りやすくするポジションを担う存在、と撮影前に話し合いました」と、高橋伴明監督とのやりとりについて語る。

「監督の短い説明だけで、すんなりと役に入っていけた」

おりんは乳飲み子と夫を養うため、遊女をしている女性。道元や彼を慕う僧たちのように「登場人物全員が立派過ぎる人柄だと、なかなかとっつきにくいですよね。業が深くて人間的な部分を持っているキャラクター、自分の思いや願いが叶わないことに対していらだちを持っている女性を入れたいというお話でした」。

監督からは「そのままで演じて下さい」と言われたという。実際、内田さんの演技も、ストイックな僧を演じる俳優たちの演技も清冽さこそたたえながら、必要以上に時代がかった大げさなものではない。
「監督は各シーンを撮る前に短い言葉で『こんな感じ』と言うだけで、特に長く説明することはなかったです。私も分からなければ聞こうと思いますけど、そんなこともなく、すんなり入っていけました」。

今回、女性のメインキャストはほかに登場せず、現場では紅一点だった。
「私が全然そういうのを気にしないタイプなので、みなさん気さくに話しかけてくれました。仲良くしゃべりながら、でもやっぱり女性なので、きちんと気を遣ってくれて、和気あいあいとしていましたね」。

希望を失い、自暴自棄の日々を過ごす中で道元と出会ったおりんは、その教えに心を打たれ、やがて出家する。
「撮影している間に、出家しなきゃいけないのかな、という気持ちになってきましたね。結局、出家しないと分からないんだろうなと思って。演じるということは、どこまでのアプローチなのかというところで悩みました。そこまでの覚悟を持ちたいと思って生きてはいても、出来ないから。でも、道元の教えのように、出家しなくても心の中に仏がいて、どこにいても、自分を変えようと思ったときから変えられるということに尽きるのかな、と。役者として私たちが出来るのはそういうことだと思いました」。

「生きることを表現するのに責任を持ちたい」

演じる仕事について、改めて向き合えた役だという。
「心が揺れないと出来ない。役へのアプローチの仕方が変わったと思います。本気で向き合うようになっているからこその悩みというか。死ぬ役が来たからって死ねない。表現がリアルならばいいかと言えば、そうではないし…。お客さんに伝わらなければ意味はないけれど、伝えるために分かりやすい表現ばかり考えてしまうのもどうかと思うし。だから全部がバランスなんだ、と考えましたね。技術だけでもだめ、魂と技術のバランスです」。

約3年半の休養期間を経た後、仕事に対する姿勢も変化した。
「生きることを表現するのに責任を持ちたいと思っています。休む前までは与えられた仕事をこなすのに必死で、どんなに悩んでいても待ってくれる時間がなかったから、常に一所懸命やるだけでした。復帰に際して、そこだけは変えたかった。私は偉そうに仕事を選んでいるわけではないですけど、復帰後にいただくオファーはいままでの私なら出ないようなもの、それこそ向こうが求めてなかったものだと思うんです。そういう方々に興味を持ってもらえるようになってきたのかもしれません。内田有紀が、ではなくて、その役で見てもらえるようになりたい。そこに私が生きていること自体が出てくる作品をやりたいです。人間の多面体の部分を見せるものに挑戦したいし、し続けていきたい」。

確かに、おりんはいまの内田有紀だから演じられる役だ。
「台本を読んで、私もそう思いました。私が生きているのを見ていてくれているんだ、と。だから絶対に全うしたい、期待には応えたいと思って演じましたね」。

《text:Yuki Tominaga / photo:Yoshio Kumagai》

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