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マドンナのワンダーな才能vol.2:石川三千花 マジメな話をファッショナブルに!

いや、ほんっと、マドンナという人は筋金入りの表現者だね。いくらビッグネームになっても、自分が何を表現したいのか、ということにブレがないもの。

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『ワンダーラスト』 -(C) 2007 Semtex films
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いや、ほんっと、マドンナという人は筋金入りの表現者だね。いくらビッグネームになっても、自分が何を表現したいのか、ということにブレがないもの。

ストリッパーになろうが、SMに興じようが、人間性まで損なわれるものじゃない。目的に向かって、他の人にはできない自分だけの何かを作り出すことが大事だと、マドンナは自身が実践してきたそのままを映像にしてみせた。中身はかなり、まっとう。でも、それをマジメに小難しく言うんじゃなくて、ポップでおしゃれに見せてくれたところがマドンナらしい。

ロンドンの片隅を舞台にしたところも、ストリート感覚を未だ失っていない彼女の活きのよさを感じる。思えば、マドンナはバレリーナを夢見てミシガンからN.Y.に出てきたときから、食うや食わずのストリート生活を経験した。成功するためのガッツは人の百倍強く、だけどそんな苦労は当たり前という顔で、チープシックなおしゃれを世の中に見せつけた。セルフコントロールの女王さまだね。そうそう、セルフコントロールといえば、これはマドンナに近い人から聞いた話だけど、大スターになった今でもマドンナは自分ちの冷蔵庫の中身をちゃんと把握していて、自分が取っておいたものがなくなるとすぐわかるらしい。なんたって、隠れ苦労人だからね〜。

マジメな話なのに、表面的にはファッショナブルな印象の本作。そのテイストは、マドンナが青春期を過ごした70〜80年代の雰囲気がある。洗練されたハイブランドの服ではなくて、体になじんだストリート系のファッション。なんといってもAKを演じたユージン・ハッツの存在感抜きには語れない。彼の生きざまが、そのまま着ているものに表れているようなシャレ具合。パンツ一丁ですら絵になる男。何を着ても自分色に染めてカッコいいったらありゃしない。あの着くずしぶりが最高だ。私は彼を見て、80年代に大好きだったフランスの多民族バンド「レ・ネグレス・ヴェルト」のボーカルのエルノ(すでに他界)を思い出した。自由でエネルギッシュなパフォーマンスは、ファッションも含めて誰のまねでもない彼独自のカッコよさだった。

また、女優たちのバレリーナ、女学生、ストリッパー風に着こなしたモード感覚も目に楽しかった。ジュリエット役のヴィッキー・マクルアは「ユーリズミックス」のアニー・レノックスばりのショートヘアで、やっぱりこの作品、80年代のクールさに溢れていた。



【columnist profile】石川三千花
イラストレーター/エッセイスト。3年間のパリ遊学を経てフリーランスのイラストレーターになる。テレビ東京「シネマ通信」で人気を博す。映画、ファッションについて独自の視点からイラスト+エッセイを展開している。著書に「勝手にシネマ」、「ラブシーンの掟」など。最新刊は「勝手にシネマ・フィーバー」(文芸春秋)。携帯電話の着メロ(映画)サイト「勝手にシネマ♪」にて、映画のイラスト批評、ファッションチェックなどを好評配信中。


ポップスター、セックスシンボル、オピニオンリーダー。デビュー当初から世間を騒がせ、世界中でカリスマ的人気を誇るミュージック界の女王、あのマドンナが映画を撮った! 彼女が初めて映画監督に挑んだ『ワンダーラスト』。マドンナの監督としての才能をどう観るか? 人気女性コラムニスト3人による特別連載をお届けします(全3回)。

vol.1:辛酸なめ子 学べよ、マドンナの処世術
http://www.cinemacafe.net/news/cgi/column/2009/01/5281/index.html
vol.3:町山広美 coming 1/15

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《text:Michika Ishikawa》

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