ファッション小噺vol.99 ローマ時代の官能ファッションを『我が至上の愛』で

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『我が至上の愛〜アストレとセラドン〜』 -(C) Rezo Productions / C.E.R.
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この間、ふと疑問に思いました。最近は、どんな結婚式、どんなウエディングドレスが流行しているのかなと。そうしたら、和の様式を用いた結婚式が流行なのだとTVで紹介されていました。エリカ様が神社(?)で式を挙げるとか、挙げないとかという話とともに。そう言えば、藤原紀香も、お姫様でもないのに十二単を着ていましたね。あ、ウエディングドレスやティアラも、お姫様じゃないのに身につけてしまうんだから、別にいいのか。それにしても、若い人でも和装で結婚式というのに憧れるなんて、ちょっといい話ですね。“篤姫”効果もあるようですが。

それでも和服がどうも似合わない私は、もう一度結婚式をするのなら(?)、ぜひ着たいのはエンパイアドレス。胸のすぐ下に切り替えがあって、ドレープがたっぷりあって、足元まで綺麗なストンとしたラインが現われているあのスタイル、どうも好きなんですよね。脚長効果、スタイルUP効果もあるし、何といっても神々しくて素敵。12年前に結婚式を挙げたとき、エンパイアドレスと露出の少ないオーソドックスなドレスとで最後まで悩んだのですが、地味好きな“花嫁の父”の好みに合わせました。別段、後悔しているわけではないですがね。

さて、そんなエンパイアドレス好きの私の心を、くすぐったのが、ローマ時代の大自然を舞台に若い羊飼いの男女の恋愛を、美しい映像で描き出したエリック・ロメール監督最新作『我が至上の愛〜アストレとセラドン〜』。17世紀文学サロン、特にパリの貴婦人たちの間で大流行した小説「アストレ」を、原作に忠実に映画化した作品です。

純粋な愛を育んでいた美女アストレと青年セラドンですが、ちょっとした勘違いをきっかけに、アストレがセラドンの浮気を疑ったことから、関係がこじれてしまいます。互いに絶望する2人。セラドンは自殺を図り、ニンフ(精霊)に助けられるのですが、その美しい姿ゆえ、ニンフのマダムに軟禁されてしまうのです。さて、本当は愛し合っているのに、誤解ゆえに引き裂かれた2人の仲は、いったいどうなってしまうのか。

この愛の物語、ストーリーや官能的な映像が美しいのは、ロメール作品なのだから当然としても、ローマ時代の優美なファッションが素敵。大きな布を巻きつけたかのようなゆったりとしたドレープ、セクシーなのに決していやらしくない露出は、ぴったりと体の線に沿ったドレスや過度な露出が、“エロカッコいい”などと思っている若い世代にも刺激的なのでは。そして、そんなスタイルに合わせているのが、ゆるりと束ねた髪にパールやリボンを編みこんだ、これまた優美なヘア。もちろん、街中でこのスタイルを真似しても、ちょっと変な人になるだけですが、エッセンスをいまのファッションに取り入れることなら出来そう。ベルトや紐を使って、洋服のシルエットや丈を変えてみたり、リボンやパールをヘアアクセサリーにしてみたり。ファッションアイテムがいまに比べて極端に少なかった時代には、きっと女性たちは自分なりの工夫をたくさん施してきたことでしょう。時代に関係なく、工夫はおしゃれの原点ですからね。

それから、『我が至上の愛〜アストレとセラドン〜』については、ファッション以外で、もう一言。ロメール監督ご自身が、2007年のインタビューで「これを最後に引退するつもりだ」と言っているので、もしかすると本当に遺作になるかも。でも、こよなく若々しく瑞々しいこの作品を観ていると「そんな寂しいこと言うなよ、エリック!」という気持ちでいっぱいに。でもきっと、人生を映画に捧げてきた彼だから、また新作を撮りたくてうずうずしてしまうはず。そんな押さえきれない衝動が芽生えることを期待しましょう!

《text:June Makiguchi》

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