『ヘブンズ・ドア』で“悪役”に徹した長塚圭史「くたびれるほど、難しかった」

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『ヘブンズ・ドア』 長塚圭史 photo:Yoshio Kumagai
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  • 相次ぐ“悪役”の中でも苦戦した小久保役 photo:Yoshio Kumagai
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演劇プロデュース・ユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」の作・演出・出演の三役を手がけ、映画やドラマでも活躍し、執筆もこなす男・長塚圭史。現在33歳。若手というには豊富な経歴を持ち、ベテランというにはまだ早い──けれど、表現者としての才能はすでに一目置かれている存在だ。そんな彼が、青春ロード・ムービー『ヘブンズ・ドア』で演じるのは、主人公の勝人(長瀬智也)と春海(福田麻由子)を執拗に追いかけるK3ホールディングズ社長・小久保。昨年公開された『容疑者Xの献身』『GOTH』でもインパクトのある不気味な“悪役”を演じた彼だが、本作でも異彩を放っている。

くたびれるほど難しかった今回の“悪役”

「あえて悪役を選んでいるわけではないんです。この一年は悪役のタイミングだったんですかね」と、苦笑いを見せるが、正直なところ長塚圭史には影のある役がよく似合う。だが、今回の役作りは「くたびれるほど難しかった」という。
「紐解いていくと徐々に見えてくる役ではあるんですが、とても難しかったですね。幼少期に何かあったのか? とか、自分自身の過去を封印しているのか? とか。小久保という男はとても動物的なんですよ。その感覚はすごくよく分かる。ただ、この映画においては、彼の根っこの部分を演技に持ち込む必要はなくて…というのは、人間味を出しても作品のプラスにはならないんです。たぶん、監督もそれを分かって演出していたと思う。最後で一瞬、歪んだ部分を見せていますけどね」。哲学的な台詞も印象的だ。

ちなみに、最初に脚本を読んだときに「(どういう役なのか)掴めず戸惑った」と、疑問から入ったそうだが、そもそもオファーを受けた一番の理由はどこにあったのだろう。オリジナルのドイツ版『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』('97)が好きだったのか? それともほかに理由があったのか?
「ひとつはマイケル・アリアス監督への興味ですね。アニメの世界にいた監督、しかも日本のアニメを撮った人間が初の実写でどんな画を撮るんだろう…という興味。もちろん、『鉄コン筋クリート』('06)で彼が描いた質感や音楽センスにも興味を持っていました」。

オリジナルとの違いも気になったと続ける。
「ドイツ版の好きなところは、“生身の人間”が“生身の人間”を追いかけている構図と、あの海のラストシーン。でも、今回の日本版はその追いかけっこを抑えている気がするんです。海を目指すという(オリジナルと同じ)終着点はすでに決まっている。ゆえに日本版では敢えて“追う者”をぼかしている。そうすることによって、何から逃げているのか、どこに向かって逃げているのかが浮き上がってくるんです。そうじゃないと、オリジナルと全く同じになってしまいますからね」。だからこそ、小久保の人間味を抑える必要があったというわけだ。また、興味とは逆にオファーを受けるかどうか躊躇させるような“障害”もあったそうだが?
「高い所に立たなくてはならないシーンがあったんです。僕、高所恐怖症なのでそれが気がかりで(笑)。撮影ですか? もう、めちゃくちゃ怖かったですよ」。

長塚圭史が映画を選ぶワケ

そして、役柄にちなんでこんな質問を投げかけてみた。昨年の『ダークナイト』でヒース・レジャーは歴史に残る名悪役を最期に演じたわけだが、長塚圭史にとっての思い出深い悪役は?
「本当にヒース・レジャーの演技は素晴らしかった。ほかにも印象的な悪役はたくさんいますね。今ぱっと頭に浮かぶのは、ちょっと古い映画になってしまうけれど『シェーン』('53)のジャック・パランスが演じていた悪そうなガンマン。あれは気持ち悪くてものすごく印象的だった。あとは、そうだな…『キリング・ゾーイ/破滅への銃弾』('93)のジャン=ユーグ・アングラードかな」と、さらりと答えてくれるあたりに博識さを感じる。
「子供の頃から映画が好きで、海外の映画をたくさん観て、たくさん影響を受けてきました。この仕事を始めたのも映画が好きだったからで──映画の魅力は作った作品があらゆる方へ向かうことができ、あらゆる人がその作品と出会う可能性があること。ものすごく大きなメディアだと思うんですよね」。ドイツから日本へ、国境を越えてきた『ヘブンズ・ドア』もそれを証明している。

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