【第81回アカデミー賞】歴史に名を刻んだ人、刻み損ねた人 明暗を分けたのは…

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『スラムドッグ$ミリオネア』のキャスト陣 -(C) A.M.P.A.S.
  • 『スラムドッグ$ミリオネア』のキャスト陣 -(C) A.M.P.A.S.
  • 『ミルク』 ショーン・ペン -(C) Erik Ovanespour/(C)A.M.P.A.S.
  • 『愛を読むひと』 ケイト・ウィンスレット -(C) Jon Didier/A.M.P.A.S.
例年と比較して、どの部門においても質の高い作品、実力派の俳優たちがノミネートリストに名を連ね、ハイレベルな争いとなった今年のアカデミー賞。だが、ふたを開けてみれば、『スラムドッグ$ミリオネア』の圧勝劇をはじめとして、ゴールデン・グローブ賞などここまで主要賞レースをリードしてきた作品、俳優たちが多くの部門で順当にオスカーを手にしたと言える。

先に挙げた『スラムドッグ$ミリオネア』は、9部門で10ノミネートを果たしていた中で、作品賞、監督賞、脚色賞などの主要部門に加え、撮影賞、編集賞、作曲賞、歌曲賞、録音賞と、実に8部門で受賞。前評判通りの強さをアカデミー賞でも見せつけた。逆に、雪辱を期した『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』は最多の13部門ノミネートも、スタッフ部門での3冠にとどまった。

主演男優賞では、ゴールデン・グローブ賞、昨年のヴェネチア国際映画祭などで主演男優賞を獲得してきたミッキー・ローク(『レスラー』)を有力視する声も多かったが、ショーン・ペン(『ミルク』)が、『ミスティック・リバー』以来、自身二度目の主演男優賞を勝ちとった。授賞式前にはミッキーがペンを推すコメントを発表し話題となったが、この日は逆にペンが壇上からミッキーにエール。名場面として今後、語り継がれることになるかも。『ベンジャミン・バトン』のブラッド・ピットの受賞にも期待がかかったが、ペンの受賞はまずまず順当な結果と言えそう。

主演女優賞はゴールデン・グローブ賞主演・助演W受賞の勢いそのままに『愛を読むひと』のケイト・ウィンスレットが栄冠を手にした。ゴールデン・グローブでは『愛を読むひと』での役柄が助演として扱われており、今回、主演作品としてノミネートされたことを懸念材料と見る向きも一部あった。だが、そんな不安の声をはねのけて6度目のノミネートで念願のオスカー獲得となった。

助演女優賞はペネロペ・クルスがスペイン人女優として初のオスカー獲得という快挙を達成。昨年の『ボルベール<帰郷>』では、主演女優賞にノミネートされながら涙をのんだが、今回見事に雪辱を果たした。そして、主要部門の中で最も話題を集めていた助演男優賞。故ヒース・レジャーによる、史上2人目の故人のオスカー受賞なるか? その場合、誰がオスカー像を受け取るのか? など注目を集めていたが、“鉄板レース”との読み通り『ダークナイト』で歴史に残る悪役・ジョーカーを演じたヒースが受賞。ヒースの遺児の母であるミシェル・ウィリアムスが登壇するのではといううわさも流れたが、故人の父母と実の姉が壇上に上がりオスカー像を受け取った。

そのほかの部門では、前評判の高かった『ウォーリー』が長編アニメ映画賞を“予想通り”獲得。短編アニメ映画部門を日本作品として初めて制した『つみきのいえ』(加藤久仁生監督)は、『おくりびと』の陰に隠れ、やや注目度が低かったが、アニメ分野で最高峰とされるフランスのアヌシー国際アニメーション映画祭最高賞を受賞するなど国内外で高い評価を受けていた。2003年の宮崎駿監督による『千と千尋の神隠し』の長編アニメ映画賞受賞に続く快挙で改めて日本アニメーションの質の高さを世界に知らしめた。

そして外国語映画賞では、当初ドイツ代表の『バーダー・マインホフ 理想の果てに』やアニメーション作品ながらノミネートを果たしたイスラエル代表の『戦場でワルツを』が有力視されていたが、我らが日本代表『おくりびと』が見事、アカデミー賞の歴史に名を刻んだ。

全体として見ると、下馬評通りの結果が並んだ中で、『おくりびと』が当初の劣勢の予想を覆して受賞を決めたというのは日本人にとっては嬉しいニュースだ。授賞式の最後に司会を務めたヒュー・ジャックマンは「すでに来年のアカデミー賞に向けた戦いは始まっています」と語ったが、さてさて、来年は一体どんな顔ぶれが並ぶのか。激戦を期待したい。

© Erik Ovanespour/© Jon Didier/© A.M.P.A.S.

主要部門受賞一覧
・作品賞:『スラムドッグ$ミリオネア』
・監督賞:ダニー・ボイル 『スラムドッグ$ミリオネア』
・主演男優賞:ショーン・ペン 『ミルク』
・主演女優賞:ケイト・ウィンスレット 『愛を読むひと』
・助演男優賞:ヒース・レジャー 『ダークナイト』
・助演女優賞:ペネロペ・クルス 『それでも恋するバルセロナ』
・脚本賞:ダスティン・ランス・ブラック 『ミルク』
・脚色賞:サイモン・ビューホイ 『スラムドッグ$ミリオネア』
・長編アニメ映画賞:『ウォーリー』
・短編アニメ映画賞:『つみきのいえ』
・外国語映画賞:『おくりびと』
・美術賞:『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
・視覚効果賞:『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
・メークアップ賞:『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
・衣装デザイン賞:『ある公爵夫人の生涯』
・音響編集賞:『ダークナイト』

第81回アカデミー賞特集
http://www.cinemacafe.net/fes/academy2009
《text:cinemacafe.net》

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