ファッション小噺vol.103 ミッキーにはロキ。あなたのラッキーチャームは?

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授賞式を鑑賞中のミッキー・ローク Darren Decker / -(C) A.M.P.A.S.
  • 授賞式を鑑賞中のミッキー・ローク Darren Decker / -(C) A.M.P.A.S.
  • ミッキー・ローク Bryan Crowe / -(C) A.M.P.A.S.
  • 『レスラー』 -(C) Niko Tavernese for all Wrestler photos
日本時間2月23日、映画ファン待望の第81回アカデミー賞の授賞式が行われました。日本からノミネートされた2作品が見事受賞したり、故人となったヒース・レジャーがオスカー俳優となったり、21年ぶりにアメリカの資本が入っていない『スラムドッグ$ミリオネア』が作品賞含む最多8部門に輝いたりと、何かと話題の結果となりました。

ブランジェリーナが最前列で見守る(?)中、ブラピの元妻ジェニファー・アニストンがプレゼンターを務めたこと、ジャンルごとに非ノミネート作品を含めた2008年公開作を振り返る映画愛に満ちた演出など、ショーとしても見どころの多い授賞式だったと思います。もちろん、私が本気で(人として)惚れているヒュー・ジャックマンの司会ぶりも、彼自身のエンタテイナーとしての魅力を改めて見せつける素晴らしいものでした。そうそう、往年の名優&オスカー受賞者たちが5人ずつプレゼンターとして登場し、主演賞&助演賞のノミニーひとりひとりに祝福と敬意の言葉を寄せる演出は感動的ですらありました。久々に、観る価値のあるあったショーになっていたと思います。

そんな中で、誰もがつい注目してしまうのが、出席者たちの衣裳。レッドカーペット取材では、インタビュアーが必ずと言っていいほど「誰のデザイン?」と聞いていたのを観て(最近の恒例行事ですね)、映画界とファッション界の商業的な強い繋がりも感じさせました。とはいえ、レッドカーペットのスナップを紹介する、“注目のオスカー・ファッション”なんて企画もちょっとマンネリ気味ですよね。って、一人で勝手にそんなことを思ってしまったせいか、あまり女優たちのゴージャスファッションには興味が湧きませんでした。

一方、強く興味をそそられたのが、『レスラー』で主演男優賞にノミネートされていたミッキー・ロークのファッション。白を基調にした独特の出で立ちで登場。それだけなら、彼自身のインパクトに負けてしまいそうなスタイルですが、ちょっとしたエッセンスで彼自身の強烈すぎる独自性とファッションの個性が絶妙なバランスとをとる結果に。そのエッセンスというのが、彼の胸元に光っていたペンダントとピンバッチです。そのモチーフになっているのが、彼の愛犬、チワワのロキ。かなりの愛犬家として知られる彼は、映画の宣伝で各国を回るときにも一緒に連れて歩き、公式の場にも登場させていました。

「もうかなりの年だから、離れていたくないんだ」と共に過ごせるロキとの時間を慈しむように話していた彼。残念ながら、アカデミー賞授賞式直前の2月16日にロキは他界。きっと一緒にアカデミー賞のレッドカーペットも歩きたかったのでしょう。彼の身につけたアクセサリーからは、“いつも一緒だよ”というロキへの愛が垣間見えるよう。同じ愛犬家として、微笑ましく思いました。とはいえ、実はこのファッション、熱烈な愛犬家や愛猫家が、犬Tシャツや猫グッズを身に着たりするのとはちょっと違うように感じました。今年1月、失業状態だったところを『レスラー』という作品と出会い、ゴールデン・グローブ賞を受け取るに至るまでをふり返り、「俺にとって、復帰への道のりはとても長かった」と告白したミッキー・ローク。「時に人間は孤独で、一緒に居てくれるのは犬だけだ。彼らは俺にとってのすべてだった」と話していました。

大スターだった頃は彼をちやほやしていながら、下り坂を迎えたと見るや離れていった人はきっと大勢いたのでしょう。そんなときにも彼を支えてくれたのが犬たちというわけ。「亡くなった犬も、生きている犬も含め、俺の犬みんなにありがとうと言いたい」とゴールデン・グローブの受賞式でスピーチし、その感謝を全身で表現したミッキー・ローク。オスカーは残念ながら逃しましたが、友人ショーン・ペンの受賞を余裕の表情で見つめ、祝福していた姿が印象的でした。ロキの遺影とともに晴れの舞台にいることで、満足していたのかもしれません。例え受賞は逃しても、やっぱりロキはミッキーのラッキーチャームなのでしょう。

どん底を経験したからこそ、真の愛と演技する喜びを知った彼の今後の活躍、注目し続けていきたいと思います。まずは、その雄姿を『レスラー』(初夏公開)でチェックしましょ。



Darren Decker / Bryan Crowe / © A.M.P.A.S.
《text:June Makiguchi》

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