“男子トイレ”で巻き起こる、一味違う異色青春ムービー『チャーリー・バートレット』
チアリーディングに青春を賭ける女の子たちのハイスクール・ドラマ『チアーズ!』、高校卒業までに童貞を捨てようとする男の子たちのドタバタ・コメディ『アメリカン・パイ』、恋と友情をミュージカル・タッチで描いた『ハイスクール・ミュージカル』など、アメリカの高校生たちを主役にした映画はこれまでにも数多く作られてきた。『チャーリー・バートレットの男子トイレ相談室』もそのひとつなのだが、前述の青春映画とは少々毛色が異なる。それは、高校生なら誰もが抱える悩み──両親や先生にはなかなか言い出せないことを、学校の“男子トイレ”でカウンセリングしてもらうというストーリー。話を聞いてもらうだけでなく、しっかり薬まで処方されるというのがユニークだ。
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アメリカでは口コミでスマッシュヒットを記録。ティーンエイジャーの実状が描かれていることはもちろん、主人公・チャーリーを演じるアントン・イェルチンの力も大きい。日本ではまだ無名の俳優だが、今年公開の『スター・トレック』や『ターミネーター4』など話題作に出演する注目株だ。そんなブレイク間近の彼が、本作では成績優秀でセレブなのに偽造運転免許証を売りさばいたり、心理カウンセラーになったり…という、リスキーなスクールイン・ビジネスを思いつく高校生を魅力的に演じている。また、有名私立高校を次々と退学になったチャーリーが最後にたどり着いた公立高校のアル中校長役にロバート・ダウニーJr.が扮している点も見逃せない。
日本はアメリカほどカウンセリングという習慣が定着していないが、この映画が伝えたいのは、誰もが悩みを抱えているということ。そして、対話することの大切さ。ハイスクール・ムービーというとおバカ映画に見られがちだが、本作は大人も楽しめる奥深い青春ドラマなのだ。