ファッション小噺vol.106 あえて“崩す”、あえて“外す”人々

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『バーン・アフター・リーディング』 -(C) 2008 Focus Features LLC.All rights Reserved.
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ハリウッド黄金期、男優、女優たちは銀幕でも、スナップショットでも、それはそれは美しく煌びやかでした。人目を気にしないでいいプライベート空間でどんな様子だったかは分かりませんが、人の目に触れるときは、必ずビシッと決めていたものでした。もちろん、ブカブカの靴に、つきはぎだらけのズボンを履いたチャップリンは別ですが。

いまや、映画スターたちはすっぴんで外を歩き、極めてカジュアルなゆるゆるファッションでスナップを撮られる時代。中には、オフのファッションが素敵なトレンドセッターもいるものの、「どうしたの?」というほど素の姿はぼんやりとしていて、垢抜けない人もいるものです。ただ、スクリーンの中で見せるのは、あくまでもキャラクター。そのギャップ、変身ぶりを見せることも、ひとつの商戦なのかもしれません。

もちろん、いつもはノーメイクでゆるカジなセレブが、銀幕ではフルメイクや最新モードを身につけることもありますが、実は逆もありますよね。オフのときのファッションや素顔が、「さすが!」と思わせるほど洗練されていても、映画の役柄で、「え゛」というほど“崩れ”ていることも。それは当然。いい男、いい女の役ばかりじゃ、リアリティなんてものが表現できないのですから。

最近の、そんな“崩れ”の代表者がブラッド・ピット。ご存知、公開中の『バーン・アフター・リーディング』での姿です。ジョージ・クルーニー、ジョン・マルコヴィッチら名優たちが演じるユニークな崩れキャラの競演が話題となっている作品ですが、やはり最も変な感じなのが、ブラピ演じるスポーツクラブのお兄さん。語彙が異様に少なく、常にスポーツドリンクをがぶ飲み。嬉しいことがあると、妙な踊りを披露する。こんなインストラクター、いないよね…。まあ、いるかいないかはさて置いて、この彼がおバカでいてくれたことで、映画が抜群に面白くなっているのです。

ブラピの私生活は、アンジーとの恋愛&家族物語など話題も多く、常に報道されているので、知った気になっている人が私を含めて多いはず。私服も私生活も決して「あっ、残念」という感じではありません。パートナーの尻に敷かれているようではありますが、チャリティにも熱心でなかなか好感度高し。

それが、どうでしょう『バーン・アフター・リーディング』では、ピタピタのスポーツウエア、知性を少しも感じさせないユルい話し方、髪型、所作を変えることで、ここまで崩れてしまうのかと驚きました。よく、“磨けば光る”と言いますが、もしかするとブラピはこんな風に成長していたかもしれないのかも。ハリウッドという“世界一の磨き工房”でプロたちに寄ってたかって磨かれた結果がいまなのかも。そう思うと、実は誰もがスターになる可能性を秘めているのかもと思う次第。でも、この豹変ぶりを見て、ブラピの演技を褒める前に、そんなことを考えてしまうなんて可哀想!?

《text:June Makiguchi》

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