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中村雅俊の男の美学「僕らは“強がり”の世代。若い共演者? ライバルですよ!」

60歳を迎えて人は何を思い、何を悟るのか。映画『60歳のラブレター』は、いままさに還暦を迎えようとしている人はもちろん、すでに60歳を過ぎた人間、そして、還暦までいまだ数十年を残している若い世代にも、冒頭のような問いを考えさせずにはいられない。それぞれの思いを抱え、60歳を迎えなお惑い、変化していく主人公たち。そのひとり、橘孝平を演じた中村雅俊が、この作品を通じて感じたものとは——?

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『60歳のラブレター』 中村雅俊
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60歳を迎えて人は何を思い、何を悟るのか。映画『60歳のラブレター』は、いままさに還暦を迎えようとしている人はもちろん、すでに60歳を過ぎた人間、そして、還暦までいまだ数十年を残している若い世代にも、冒頭のような問いを考えさせずにはいられない。それぞれの思いを抱え、60歳を迎えなお惑い、変化していく主人公たち。そのひとり、橘孝平を演じた中村雅俊が、この作品を通じて感じたものとは——?

「最初に脚本を読んで、泣かせてもらった」

孝平は、家庭を顧みずに仕事一筋で生きてきた上、よそに愛人を作って…という、どうにも観客の好感が得られにくい役柄。中村さん自身、これまでにあまり演じたことがないタイプの役だったが、楽しんで演じた様子。
「まず、何より脚本が素晴らしくて、泣かせてもらった。そういう作品でこういう役をやるのもいいかなって思いましたね。やはり、役者としてイメージを裏切りたい、チャレンジしたいという気持ちは誰でも持ってるものだから。観終わった人からいろんなこと言われたけどね(笑)。それこそ役者冥利に尽きるってところですね」。

一方で、個人的な思いとしては孝平という男に対して「認める部分もある」と語る。
「実際に愛人作ったりするかは別ですが(笑)。男ってどこか自分勝手で、仕事一筋が美学で家庭を顧みない時期もあるものなのかな、とは思います。気がついたら奥さんとの距離を感じて、そこからまた縮めていったり。最初から優秀な夫でいられるわけではないからね。男として、いつだって女性にモテたいって気持ちもあるよね。いや、行動には移しませんよ(笑)! 女性は認めない部分でしょうが、精神的に理解できる部分はありますね」。

深川栄洋監督、そして中村さんが先ほども絶賛していた脚本を担当した古沢良太は共に30代。若きスタッフたちが中村さんを始め、経験豊かなベテラン俳優陣と共に還暦を迎える人々のドラマを描く、というのは興味深い部分だが…。
「脚本に関して言うと、この食材でこんなにおいしく食べさせてくれるのか? というのが最初の印象でした。『ALWAYS 三丁目の夕日』を書いてるっていうので、俺ぐらいの歳かと思ってたら、そのへんのあんちゃんみたいで(笑)。現場でも、すごく多くのセッションがありましたね。監督自身の思うところと、少し外から客観的に自分の親の世代を捉えようとする部分があって。時にすごく鋭い指摘をいただくこともあって刺激的でした」。

この映画がなければ、死ぬ間際まで気づかなかったかもしれない重い言葉

若い頃は「これぞ青春!」とも言うべき作品に数多く出演した中村さん。現在58歳だが、まさに青春を生きていた20代当時、いつか迎える60歳や結婚というものをどのように考えていたのだろうか?
「何も考えていなかったというのが正直なところですね。若い頃って行動に対して、後から理屈をつけるもので、実際のところ、気持ちの赴くままに行動してました。この映画で一番ドキッとさせられた言葉が『ずっと君に背中を押されて生きてきた』というセリフ。僕だけでなく、僕の父親の世代にもきっとずっしりと来るんじゃないかな。『俺について来い!』って感じで若い頃から好き勝手にやって来た連中ほどね。この映画がなければ、死ぬ間際になってやっと気づくんじゃないかというくらい、重い言葉だと思います」。

“団塊世代”、“ベビーブーム”、“ビートルズ”…還暦を迎える世代を象徴するキーワードは数多くあるが、中村さんが自分たちの世代を表す言葉を何か選ぶなら? と尋ねてみると、意外な言葉が——。
「“強がり”かな。おれたちの世代って結構、つっぱってて、本当はちょっと寂しいのに『群れたくない!』って気持ちで一匹狼でいるところってあるんです。逆に、いまの若い俳優さんはみんな仲が良いじゃないですか。『おいおい、それでいいのか?』って勝手に思ってます(笑)。ファッションだって、僕らはみんなバラバラでしたからね。ドテラ着てる奴がいたり、僕も下駄はいてたり…。自分の道を往くと言うか、強がってましたね」。

いまなお、この気持ちは変わらないようで、「若い役者さんとの現場での関係は?」と尋ねるとこんな答えが。
「頼れる先輩? とんでもない! ライバルですよ。『若い奴らを納得させるもの見せなきゃ』って勝手に自分にプレッシャーかけてます。おちおちしてられないから(笑)」。

(ヘアメイク:鈴木佐知/スタイリスト:奥田ひろ子/衣装協力:リチャード ジェームス,ロンナー)

映画『60歳のラブレター』は5月16日(土)より全国にて公開。また、主演舞台「僕たちの好きだった革命」は、5月19日(火)〜31日(日)まで東京芸術劇場にて上演予定。
《シネマカフェ編集部》

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