ファッション小噺vol.109 王道の伝記&ピグマリオン精神に見る“シャネル”

最新ニュース

『ココ・シャネル』 -(C) 2009 ALCHEMY/PIX ALL RIGHTS RESERVED.
  • 『ココ・シャネル』 -(C) 2009 ALCHEMY/PIX ALL RIGHTS RESERVED.
  • 『ココ・シャネル』 -(C) 2009 ALCHEMY/PIX ALL RIGHTS RESERVED.
  • 『シャネル&ストラヴィンスキー シークレット・ストーリー』
8月8日(土)の公開が決まった映画『ココ・シャネル』。前回ご紹介した『ココ・アヴァン・シャネル』が、シャネル王国を築くきっかけとなった最初の成功まで、つまりガブリエルの半生を綴ったものでした。対してこちらは、すでに有名となり、第二次世界大戦後、15年の沈黙を破って復帰しようとする70歳のココ・シャネルが、自らの人生をふり返るというスタイルをとっています。

子供時代から、成功した後まで一気にふり返るので、やや急ぎ足の印象も。『ココ・アヴァン・シャネル』に比べて、当然ながら濃度は薄め。でも、シャネルについて伝記を読むようにいろいろ知りたいと思ったら、まずはこちらから観るのがおすすめです。公開時期も、シャネル関連映画の中で最も早いことですし。

本作の比類ないところは、伝説の女優シャーリー・マクレーンが、伝説のデザイナーを演じるところ。服によって、女性の意識、そして女性自身のあり方を因習から解放した歴史的人物。すでに名声を得て、伝説となっている人物を演じるには、それ相応の迫力というものが必須となりますが、マクレーンなら文句なし。自らの人生をふり返るシャネルが、要所要所で入れるコメントが、解説を加えているようにも感じられ、現代にも強い影響を与えている女性像が見えやすく描かれています。

もう一本のシャネル関連の話題作は、去る5月に行われた第62回カンヌ国際映画祭のクロージング作品、ヤン・クーネン監督の『シャネルとストラヴィンスキー シークレット・ストーリー』(原題:Coco Chanel & Igor Stravinsky)です。恋多きココと、彼女が愛し、サポートしたロシアの作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキーとの関係を描いています。見どころは、シャネルの現デザイナーであるカール・ラガーフェルドが直々に手がけたという衣裳。彼のお気に入りで、シャネルの顔としても活躍したアナ・ムグラリスが主演しているのも、あまりに出来すぎ。『ココ・アヴァン・シャネル』も、衣裳はシャネルから協力を受けていますから、さすがはフランス作品と唸らされます。

さて、『シャネルとストラヴィンスキー シークレット・ストーリー』に描かれているように、ココは多くの芸術家を無名時代から支えています。ストラヴィンスキーはもちろん、パブロ・ピカソ、ルキノ・ヴィスコンティ、ジャン・コクトーら、『ココ・シャネル』でもその名が登場しています。そんな彼女に敬意を表し、“ピグマリオン”と呼ぶ人もいます。ギリシャ神話に語源を持つ“Pygmalion”とは、才能を信じ、支援して、開花させる人という意味。実は、彼女のピグマリオン精神はいまもブランドの核として息づいています。その典型が、「CHANEL PYGMALION DAYS CLASSICAL CONCERTS」。2005年からスタートしたこのプログラムは、若手音楽家たちを育てるために始まったプロジェクトの一環。今後の成長を見守り、応援していくというもので、シャネル銀座ビルディング4階にある「CHANEL NEXUS HALL」にて、無料で聴くことができます(抽選制)。私も何度か通いましたが、有名な演奏家とは、素人が聴いても明らかに違います。でも、演奏が楽しくてしょうがない気持ち、観客に語りかけようとする姿勢、フレッシュな魅力に満ちあふれていて、今後が楽しみ、頑張ってほしいなという気持ちが湧いてきます。資金で援助できなくても、こういった場に足を運び、演奏家に応援の気持ちを向けるだけでも、きっと意味のある援助となるはず。芸術家にとっても、数多くのLIVEを経験して場数を踏むということは大切なことですから。

シャネル銀座ビルディングで体験する、ガブリエルのピグマリオン精神。シャネル関連の映画とともに、ぜひ味わってみてください。

シャネル銀座ビルディング
http://www.chanel-ginza.com/nexushall/

《text:June Makiguchi》

関連ニュース

今、あなたにオススメ
Recommended by

特集

page top