スパイク・リーが描く戦場「彼らは、オバマへとつながってゆく進化の一部なんだ」

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『セントアンナの奇跡』 スパイク・リー監督
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現代のニューヨークで、一人の郵便局員が起こしたある殺人事件。その事件を解く鍵は、1944年のイタリア・トスカーナにあった——。第二次大戦下のイタリアにおける“セントアンナの虐殺事件”と黒人部隊“バッファロー・ソルジャー”にまつわるある奇跡を描いた『セントアンナの奇跡』。監督を務めるのはスパイク・リー。彼にとっては初めて戦争を描くことになった本作。そこに込めた思いとは?

「僕たちはこの映画が、バッファロー・ソルジャーについてだけの映画ではないと信じている」とスパイクは作品が問いかける、いくつもの問題についてこう語る。
「そこには当時、イタリアで起きていた様々な問題、自由を望む市民とムッソリーニのファシスト政権下にいたいと思う市民の間に起きた内乱も描かれている。また、僕と(脚本の)ジェームズ(・マクブライド)は、ナチのキャラクターを、出来るだけ多面的なものにしたいと思っていたんだ」。

イタリアでの撮影では、当時を知る老人たちが、何度も現場を訪れたという。
「彼らは大戦のときはまだ子供で、虐殺の生き残りだった。一人の年老いた女性が『バッファロー・ソルジャーのおかげで私は生き残ったの』と話しかけてきた。大戦中、幼い彼女は死にかけていたそうだ。彼女の母親がバッファロー・ソルジャーの基地に彼女を連れて行き、黒人の医者がペニシリンを注射して助かったということだった。彼女は話しながら、僕の目の前で泣き出したんだよ。そういう話を聞くと、これは本当に起きたことだと実感できた。1944年8月12日、ナチの16部隊が無実の560人のイタリア市民を虐殺した。被害者の大半は年寄りや女性、子供たちだった。まさにそれが起きた場所で僕たちは2日間撮影したんだ。キャスト、スタッフ全員が、虐殺された560人のスピリットとソウルを感じることが出来たよ。インスパイアされ、このことをちゃんと描く義務があると背中を押されたよ」。

折りしもこの映画の製作の最中に、アメリカはその歴史上初めて、アフリカ系アメリカ人を大統領に迎えることになった。このことについて、スパイクはこのように語る。
「映画の中で2人の兵士が、アメリカへの愛国心について議論するシーンがある。デレク(・ルーク)演じるスタンプは『おれは。子供や孫のために戦っているんだ』と言う。そういった長期的な見方が必要なんだ。バッファロー・ソルジャーは、バラク・オバマへとつながっていった進化の一部だよ。キング牧師やジョン・F・ケネディ、マルコムとリストは延々と続く。それは“希望”だ。僕たちの祖先が持っていたのと同じ希望だよ。彼らは奴隷だったけど、教会に行ってニグロのスピリチュアルを歌い、いつか約束の地に行き着けるようにと祈った。僕の祖母の母は奴隷として生まれたけど、祖母は大学を卒業して100歳になった。そして、僕をモアハウス大学とニューヨーク大学に行かせてくれたんだ。彼女はアフリカ系アメリカ人が大統領になるなんてことは考えたことさえなかったよ。それは、この国が大きく動いていることを示している。いまは、祖父母や両親と同じ考えを持たないアメリカ人がたくさんいる。白人の子供たちが買う音楽の80%はヒップホップだしね。それは物事の見方を完全に変えてしまう。実際、彼らはオバマのキャンペーンの大部分を占めることになった。この映画は、まさにそこにピッタリとはまるんだ。希望と、この国の創始者たちがやろうとしていたことをついに達成しようとしているこの国の可能性という意味でね」。

題材が戦場であれ、日常であれ、スパイクが描き続けるものは変わらない。アメリカの歴史を担った男たちのドラマを堪能してほしい。
《text:cinemacafe.net》

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