世界の映画館vol.28〜アジアの旅〜 マレーシア・イポー、映画館が潰れていく…

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マレーシア・イポー 映画館が姿を消していく… (photo:Ishiko)
  • マレーシア・イポー 映画館が姿を消していく… (photo:Ishiko)
  • ここにもシネコン化の波 photo:Ishiko
  • 中に入ると、千名近くは入りそうな広さ photo:Ishiko
  • 寂れた雑居ビルの中に併設された劇場 photo:Ishiko
ガイドブックによるとイポーという街は、マレーシアで三番目に大きな街なのだそうだ。しかし、どちらかというと郊外に大型ショッピングモールができてしまい駅前が閑散としてしまった日本の地方都市に似ている。ホテルも併設されているマレー鉄道イポー駅の建物は歴史的建造物としては立派だが、乗客も宿泊客もほとんど見当たらない。そもそもこの駅には一日に数本しか電車は停まらないのだ。駅前の道路を渡った反対側にこれまた立派な市民ホールが建っているが使っている気配は全くない。駅の近くには素敵な趣ある建物は多いのだが、人の気配をほとんど感じないのである。

「どうしたイポー! 僕は7時間もバスに揺られて、この街にやってきたんだぞ!」

と思わず叫びそうになるほどである。まぁ、イポーの街からすれば、誰も来てくれと頼んでないけどと言われそうだが。

旧市街から新市街に移ると多少は、活気が出てくるものの、それでもやはりどこか寂しい街のイメージはぬぐえない。その理由は潰れた映画館が多すぎることにある。地図に書かれていた一軒目の映画館は中華レストラン、二軒目は家具屋、そして三軒目は洋服屋と携帯電話屋、どこも映画館の建物のまま別の店として営業していた。潰れた映画館の数だけ、街の寂しさをより感じさせる。

「どうしたイポー! 僕は世界の映画館を探しているんだよ!」

と思わず叫びそうになるほどである。まぁ、イポーの街からすれば、あなた一人の為に映画館を維持することはできないんだけどと言われそうだが。

ホテルで尋ねると、少し先のショッピングモールの中にシネコンがあると言われた。世界の映画館は確実にシネコンに変わりつつある。1館で1本の作品を上映するより、同じスペースを区分けして4、5本の映画を上映した方が効率いいことは、いくらビジネスに疎い僕でも理解できる。これも時代の流れなので仕方がないのだが、特色ある映画館がなくなっていくのはやはり残念なものである。きっと以前は、映画館が散らばり、人も散らばっていたのだが、シネコンとデパートが合体することで人が一極集中して、ほかの場所が閑散としていったのだろう。

四軒目でようやく辿りついた映画館は、この街を流れるキンタ川と呼ばれる川の近くに建つこれまた活気のない雑居ビルの中に併設されていた。インド映画のポスターが貼られ、質素な電飾で飾られた奥の扉が点滅して光っていた。どうやらここは営業しているようである。入口からは想像できないほど、映画館の中は大きく千名近く入りそうなのだが僕を含めて4、5名程度しか客は入っていない。

「どうしたイポー!これじゃ、この映画館がなくなるのも時間の問題だぞ!」

と思わず叫びそうになる。まぁ、イポーの街からすれば、平日の昼間からぶらぶらしているあなたの方が問題だと思うけどと言われそうだが…。

《photo / text:ishiko》
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