『今日からヒットマン』武田真治インタビュー 「サラリーマンに誇りを持ってほしい」

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『今日からヒットマン』 武田真治
  • 『今日からヒットマン』 武田真治
  • 『今日からヒットマン』 -(C) 2009「今日からヒットマン」フィルムパートナーズ
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油断も隙もあったもんじゃない——。こちらがインタビューしているのに、逆質問してくるわ、ユーモアたっぷりに切り返してきたかと思えば、鋭く突っ込んできたり。この日だけで、すでに何件もインタビューを受けているはずなのに、武田真治は楽しそうだ。仕事うんぬん以前に、人との出会いを最大限に楽しみ、自分なりの方法で人間観察をしているような…。映画『今日からヒットマン』は、まさに武田さんと原作漫画との出会いをきっかけに動き出し、彼自身、脚本の段階から参加し、主演だけでなくメインテーマまでも手がけている。果たして彼を突き動かした思いとは? 武田さんに話を聞いた。

「サラリーマンがかっこ悪いということは、この国全体がかっこ悪いということ」

原作は、むとうひろしの手による「週刊漫画ゴラク」(日本文芸社刊)で連載中のエロあり、アクションありの人気漫画。ひょんなことから伝説のヒットマンの名を継ぐことになったしがない営業マン・十吉の活躍が描かれる。武田さんが映画化に際して何より大切にしてきたのは“サラリーマン”への熱いエールだった。
「原作は、暴力描写や性描写が多いのに、嫌悪感なく読み進められる。映画作りを通じて『どうして?』という気持ちをひも解いていって、まず(十吉の)家庭を絶対守るというぶれない気持ちが面白いと感じた。そして何より、サラリーマンが活躍するさまがすごく気持ちいい。普段、かっこ悪い職業のようにしか描かれないサラリーマンが頑張るのが痛快で、人殺しなのに応援したくなっちゃうんですよ」。

武田さん自身には、もちろんサラリーマン経験はない。それがなぜそこまでの思い入れを? そんな問いに即座に「サラリーマンがかっこ悪いってことは、この国全体がかっこ悪いってことなんですよ」と答え、こう続ける。
「この国の就業者の大半がサラリーマン。サラリーマンになったからといって、牙を抜かれ、去勢されたわけではない。この原作は、主人公を窮地に追い込むことで眠れる野性的、本能的な部分を引き出してるわけです。僕自身の周りを見ても、10年前なら『自分はプロのミュージシャンだ』、『プロスポーツ選手だ』って人がいっぱいいたけど、年齢を重ねて、同世代の多くがいまはサラリーマンになっているんです。地道でも、まっとうに生きると決意した彼らに誇りを持ってほしいという思いはありました」。

そんな思いを裏付けるのは、劇中で武田さん演じる十吉の描写。伝説の殺し屋の名を継いだ十吉は、あくまで“サラリーマン”であり、そこで培ったノウハウを駆使してコトに臨むのである。
「そうなんです! “昼は営業マン、夜は殺し屋”ではなく、殺しのときもサラリーマンとして行くんです。決して多重人格者ではなく、不器用なくらい一面性しか持ってない。でも、そのサラリーマンという一面性で闇の世界を切り抜けていくってとこに夢があるんですよ」。

「関わるなら深く」を意識し始めた30代

自身30代半ばを迎え、20代の頃と比べて自らの内面や仕事に対する姿勢に関して変化を感じる部分があるという。
「やはり、映画にしろ何にしろ、関わるなら深くということを意識するようになりましたね。今回のメインテーマや脚本への参加もそうですが、責任の度合いは高まるけど、そこを楽しめるようになってきましたね。以前は、そのシーンに見合う派手なこと、面白いことができればいいやって考えていた部分もあったけど、もっと全体的な構造で考えるようになりました。それができなきゃ実際、メインテーマを作ることなんてできないですから」。

その言葉通り、映画の見どころと言える激しい暴力描写に関しても、社会を見渡した上での武田さんなりの思いが込められている。
「いまの日本で働くってことは、肉体のぶつかり合いよりも頭脳的な部分を占める割合がずっと大きくなってる。だからこそ、逆に格闘技に人気が集まるのかもしれない。結局、生きていく上で“暴力性”ってものから逃れることはできないと思うんです。いわばこの映画では、暴力への立ち向かい方が描かれてる。あくまで間違った一例なんですが(笑)。間違ってるところも含めてエンターテイメントになってると思います」。

暴力に関して出たついでに…。本作といい昨年の『子猫の涙』といい、武田さん、血まみれや傷だらけの顔が妙に似合うような…。
「顔が整っちゃってるからでしょうか(笑)!」

最後も即答&笑顔で決めてくれた。

『今日からヒットマン』
原作:むとうひろし(日本文芸社刊「週刊漫画ゴラク」連載中)
配給:東映ビデオ
© 2009「今日からヒットマン」フィルムパートナーズ
公式サイト:http://www.kyokarahitman.jp/
《text:cinemacafe.net》
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