あなたが愛を見つける日は?vol.2 『ジェイン・オースティン 秘密の恋』

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『ジェイン・オースティン 秘められた恋』 -(C) 2006 Becoming Jane Films Limited, Scion Films Premier (Third) Limited Partnership and UK Film Council,All Rights Reserved
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秘密の恋はドキドキするもの。それは本人たちだけでなく、それを知った周囲も「えっ!!」と、思い切りドッキリさせられます。たとえそれが、自分は直接知らない人物や既にこの世を去って久しい歴史上の人物でも、「実は…」的な話を耳にすれば、「へー」「ほー」と思うもの。それが、本人のイメージからはかなり遠い、激しい恋であれば驚きとドキドキは倍増です。

そこで、こんな話はいかがでしょう。生涯独身で通し、お堅いオールドミスだったと思われていた作家ジェイン・オースティンに秘密の恋が芽生えていたというのです。そんな“実は…”が描かれているのが、アン・ハサウェイ主演の『ジェイン・オースティン 秘密の恋』。ジェイン・オースティンといえば、いまで言うなら“恋愛小説の女王”。「分別と多感」「高慢と偏見」「エマ」などで、時代を経ても変わることのない愛の本質にぐぐっと迫った作家。「恋愛の達人でなくてどうする!」と思ったりもしますが、作家とは必ずしも経験から創作を行うわけではなく、想像から作品を生むことも多い人々。人物と作品のギャップなど、文学界にはつきもので、そこが面白かったりするもの。劇中でも、作家と作品のギャップについて語られている部分があるので、本当のところ、ジェインはどうだったのかなと、旧説と新説を比べつつ、本人像に思いをめぐらせたりできるのも楽しいところです。

元はと言えば、伝記作家のジョン・スペンスが、独自の調査と新たに入手した証拠を基に、斬新な視点で彼女の生涯を検証。2003年にジェインは激しい恋を経験していたと発表したもの。それを機に、ジェインの人生についての新説が誕生したものの、事実なのは、彼女が生涯独身を通し、作家として自立した女性像を築いたこと。彼女が生きた18世紀、19世紀のイングランドと言えば、非常に保守的。結婚は当然すべきもので、今と違ってある年齢になっても結婚していない女性は“いき遅れ”として家族の悩みの種、周囲からは笑いの種になる時代でした。それでも、結婚や階級の制度に憤りを感じ、自分を貫いたジェイン。映画では、そんな彼女の姿勢に、若き弁護士・トムが、ほかの女性には感じられない新鮮な魅力を感じ、激しい恋に発展したとなっています。

映画で描かれるトムとの恋は、彼女にとって運命の恋。それを引き寄せたのは、彼女の素直でしなやかなパーソナリティ。つまり、心を偽らなかったがゆえに、ありのままの自分であり続けることに誇りを持っていたがゆえに出会った恋です。心を偽れば、資産家との結婚、そして願ってもない豊かな人生が待っているはずでした。実際、一度は彼女のこの結婚に承諾しています。そんな事実からすると、トムとの恋が、経済的に豊かな結婚生活を犠牲にして、生涯一人を貫くことの引き金になったのかもしれませんが、一生を捧げるに値するものだったということなのでしょう。

結果的に、ジェインは後世に“お堅いオールドミス”という、ありがたくないイメージを残してしまいましたが、人知れずでも確かにいきいきとした人生があったのなら、人がどう思おうと関係ないのかもしれません。すべては自分の心次第。その信念の強さは、彼女の作品に表れていますよね。

幸せそうと思われていても、激しい恋など一度も経験したことがないのと、寂しい人生だと思われても、実は豊かな実りがありそれを大切にしているのと、どちらがいいのか。好みの問題でしょうか。

さて、『ジェイン・オースティン 秘密の恋』についていろいろ語ってみましたが、証拠を検証したとはいえ、本人がいない今となっては、本当のところどうだったのか分かりません。憶測のラブストーリーといえば、個人的には、ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンの恋文から着想を得た『不滅の恋/ベートーヴェン』が大好き。ウィリアム・シェイクスピアの恋を描いた『恋に落ちたシェイクスピア』も有名です。

いずれにしても、歴史的人物の知られざる愛を知ると、この傑作の根底にも密かに恋物語が隠されているのかもと想像できて楽しいもの。彼ら自身の作品もよりドラマティックに思えてくるので、楽しさも一石二鳥というところでしょうか。

《text:June Makiguchi》

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