世界の映画館vol.33〜アジアの旅〜 白チョークで直に書くのはやめてくれ!

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インド「ヴァサント・ロック」に佇む映画館 photo:Ishiko
  • インド「ヴァサント・ロック」に佇む映画館 photo:Ishiko
ある人はデリーの銀座と言う。ある人はデリーの原宿と言う。「ヴァサント・ロック」と呼ばれる地域のことである。インドで銀座とか原宿とか言われても、あまりピンと来ない。ともかく向かってみる。乗ったオートリクシャー(三輪タクシー)の運転手は途中でヴァサント・ロックの場所がわからないと言う。
「あれ? 乗る時、ヴァサント・ロックの場所がわかるって言ったよね? 任せとけって言ったよね?」
などと言ってもインドでは無駄である。こんなことは日常茶飯事なので、信号待ちしているトラックの助手席に乗っていた若者から道を聞き、なんとか到着する。

確かに海外の高級ブランド店があったり、スポーツブランドの店があったり、黒服を着た美容師のいる高そうな美容室(ここで僕は髪をカットし、色を入れたが大失敗であった。しかも5,000円も取られた。ちなみに路上の床屋であればカットだけなら100円程度で出来る)があり、銀座と言う人の気持ちもわかるし、原宿と言う人の気持ちも何となくわかる。そんな場所でも牛がど〜んと店の前に寝ているところが、やはりここはインドなのだと感じさせてくれる。

映画が盛んな国なので、もちろんこのヴァサント・ロックにも映画館はある。ちょうど一年ほど前、同じデリーにやってきた際、繁華街コンノートプレイスの映画館で一番高い席が100ルピー(約300円)だった。しかし、このヴァサント・ロックの映画館の一番高い席はさらに高く150ルピー(約450円)である。まだ僕が行ったのは平日だったのでこの値段だったが、土日の高いときであれば200ルピー(約600円)になる。この映画館の値段設定は一階の前の方の席が一番安く50ルピー(約150円)、次に一階の後ろの席が90ルピー(約270円)、2階の端の方の席が100ルピー(約300円)となり、一番高い席は2階の真ん中の席という順番になる。

さて、デリーの映画館はカメラどころか小さな鞄の持ち込みさえできない。元々、映画館に入る際の警備は厳しい街ではあるが、昨年の秋、デリーの3か所で30名以上が死亡する大規模なテロや日本でも大きなニュースになったムンバイのテロなどの影響もあり、さらに警備は厳しくなっているようだ。

よって、鞄を持ち歩いて散歩をしている僕は預けなくてはならない。この映画館の場合、対面にある屋台の飲み物屋に荷物を預けることになっている。番号札と引き換えに預かってくれるのは日本のクロークと大差はない。しかし、僕の目の前で黒い鞄に白いチョークで番号を直接、ど〜んと大きく書くのである。思わず、「え〜」と情けない声を出してしまった。しかし、僕の次に預けた女性の高そうなブランドの鞄にもやはりチョークで直接書き、それを見ていた女性も当たり前の顔をして番号札をもらっている姿を見て、あきらめた。僕の鞄には未だに白いチョークの跡「18」の数字がうっすら残っている。

(text/photo:ishiko
《text:cinemacafe.net》
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